足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ルオー「老いたる王」

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ルオー「老いたる王」



ある晴れた日の暮れかかるころ
大空に輝く一番星が
なぜか私の心を締めつけて以来
私の心から無意識のうちに一つの詩想が流れ出た、
道端に止まっているあの流浪の人たちの車、
痩せた草を喰む老いさらばえた馬、
ぼろ車の片隅に坐って
派手でけばけばしい衣装を繕っている老いぼれた道化師、
そして人をおもしろがらせるために作られた
どぎつくきらびやかな物と、
少し高い所から見下ろせば限りなく悲しく思われる
この人生との対比……。
それから私は、そういった考えをさらに推し進めた。
私には、《道化師》が私であること、私たち、
私たちの殆どすべてであることが、はっきり解った……。
あの贅沢な金ぴか衣装は、
人生が私たちに与えてくれるものなのだ。
私たちは誰もが多かれ少なかれ道化師なのだ。
誰もが金ぴか衣装を着けているのだ。
私が老いぼれた道化師をふと見かけたように、
誰かがふと私たちを見かけるとすれば
限りない憐れみの情で腸の奥まで
抉り出されるような気持にならないなどと
おお、誰が言えるだろうか。
私は、国王であろうと皇帝であろうと
“誰もを金ぴか衣装を着けたままにさせてはおかない”という
欠点(おそらく欠点なのだろう……いずれにしても
それは私には苦しみの深淵なのだ)をもっている。
私の前にたつ人間について私の見たいのは、その人の魂だ……
彼が人間の世界で偉大であり讃美されればされるほど、
私は彼の魂のことを気遣うのだ……。

(ジョルジュ・ルオーより、エドゥアール・シュレに宛てた書簡)





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