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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

コーネル「太陽の箱」

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小さな箱は最初の歯を得る
ささやかな長さも
ささやかな幅ささやかなからっぽさ
その他いま持っているすべてを

小さな箱は成長をつづける
かつて彼女がそのなかに入っていた食器棚は
いまでは彼女のなかにある

そうして箱はどんどんどんどん大きくなる
いまでは部屋も彼女のなかにある
そして家も都市も地球も
そして彼女が以前そのなかにいた世界も

小さな箱は子供のころを覚えている
そして切ない切ない願いによって
彼女はふたたび小さな箱になる

いま小さな箱のなかには
ミニチュアの全世界が入っている
簡単にポケットに入れられる
簡単に盗めるし簡単に失くせる

小さな箱をどうぞよろしく。

(ヴァスコ・ポーパ「小さな箱」)


コーネル「太陽の箱」
Sun Box(1956)
Joseph Cornell




チャールズ・シミックの「コーネルの箱」という本を読んでいます。
無限と夢幻を詰め込んだコーネルの作品と、
著者が紡ぐ詩情とがとても心地よくて。


子どものころ、世界は果てしなく広くて
でもそのすべてを僕らはポケットにつっこんで、
家に持ち帰って大切に小箱にしまったりしてたんですね。
ガラス玉や石ころや、トンボの羽や空き缶のプルタブ。
雨の匂いや夕方の影、音符に月、太陽までも。
コーネルの作品を見るとそんなことを思い出して、
懐かしく愛おしい気持になります。





今日も明日もがんばろう。
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