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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ホルバイン「ヘンリー8世の肖像」と「アン・ブーリンの肖像」

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堂々たる体躯。
ハルクが着飾ったらこんな感じになりそうな御仁は、
16世紀前半にイングランドを統治したヘンリー8世。
肖像画家ハンス・ホルバインの作品です。


ホルバイン_ヘンリー8世
Portrait of Henry VIII(c.1537)
Hans Holbein



当時、弱小国だったイングランドを強国へと導いたカリスマ統治者である一方、
王妃と離婚したいがために宗教改革を招いた好色わがまま王としても知られています。
その離婚も一度ではすまず、歴代王妃は計6名(全員が離婚ではないのであしからず)。
うち2名は、王の不興を買いあわれ処刑されてしまったという……。


名君の誉れ高かったはずのヘンリー8世が、なぜそのような暴挙に出たのか。
このあたりのエピソードを丁寧に描いた映画が「ブーリン家の姉妹」です。
ホテル療養の暇つぶしに見てみたんですが、これがなかなかの出来栄えでした。
2番目の王妃アン・ブーリン役はナタリー・ポートマン。
奔放な性格でありながら教養もあり、男を手玉にとるしたたかさも持ち合わせています。
そしてアンの妹、メアリー・ブーリン役はスカーレット・ヨハンソン。
姉とは真逆で、物静かで謙虚、一途な性格。
この2人がヘンリー8世の寵愛をめぐりぶつかりながら、
やがて王妃の座を手にしたアンが転落していくまでが描かれています。





アンがとった戦術は、いわゆる「焦らしプレイ」。
愛をささやくヘンリー8世から巧みに身をかわすことで、
プライドの高い王を狂わせていく、というものでした。その執心ぶりたるや。
フランス宮廷仕込みのアンの身のこなしも、
王の虚栄心を満たすため有効に作用したのでしょう。
しかしアンは、なかなかなびかない。
かりに王と結ばれて子を成したとしても、私生児になってしまうではないか。
王妃になれないのであれば、あなたの愛は受け入れられない。
いまだ男児に恵まれない第1王妃など、離縁してしまえばいいのです。


ここから、最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴンを離縁するため
カトリックとの決別(宗教改革)が行われるわけです。
策謀により望んだ地位を手に入れたアンですが、
ここから先はまさに因果応報、ブーメラン。
詳しくは映画をご覧ください。
※テレビで森会長のあれこれが報じられるなか、
男女差別の極みみたいなこの映画を見るのは何ともでした。
まあ、大昔の話だからね・・・。史実だし。


この映画、ストーリーもさることながら
主演のナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンがすばらしいです。
日向と日陰のような対照的な二人ですが、
王との関係性によって光の当たり方はめまぐるしく変わります。
希望、絶望、また希望。そのたびに姉妹の絆にほころびが生じていくわけで。
特にスカーレット・ヨハンソンは、中世の役どころが良く似合います。
地位や時代は異なりますが、
「真珠の耳飾りの少女」の名演を思い出しました。
そうそう、肝心のヘンリー8世役はエリック・バナ。
ハルクを演じたあの人です。


さて、最後にアン・ブーリンについて。
冒頭紹介したハンス・ホルバインは、アンの肖像も残しています。
それがこちら。

ホルバイン_アン・ブーリン
Portrait of a Lady, thought to be Anne Boleyn(c.1534)
Hans Holbein



ヘンリー8世の肖像にくらべると、あまりにも…。
理由は存じませんが、いろいろと考えさせられる1枚です。




てことで、久々に絵画・映画のご紹介でした。
本日はホテル療養4日目(感染6日目)ですが、
特別真新しいことが起こるでもなく淡々と過ごしました。
朝方、体温が37.5度まであがって危ぶみましたが
ほかに特別症状が変わったわけでもなく、
当面はおとなしく過ごす感じになりそうです。
不眠はあいかわらず。
今晩様子を見て、やはりだめだったら薬を試そうかなと思います。

ではでは。

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