デュルメル「サロメ」
前々回、ブグローの「ファーストキス」をご紹介しましたが
今回は大人の男女の官能的なキスシーンを。
でも、よく見ると……
Salomé(1896)
Lucien Lévy-Dhurmer
リュシアン・レヴィ=デュルメルの「サロメ」。
1896年発表のパステル画です。
男性の頭を両腕でかき抱き、口づけをする女性。
絵画全体を覆う赤色は、燃え立つような情念のあらわれなのか。
さて、美術に詳しい方ならもうピーンと来ているかもしれません。
タイトルにもなった「サロメ」ですが、
こちらは当ブログでも何度か紹介している有名な女性(詳しくはこちら)。
結論からいうと、サロメが口づけを交わしている相手は聖ヨハネ。
そして聖ヨハネは……生首なんですね。
よく見るとサロメの左腕の下に円盤状の物体が見えます。
これが、聖ヨハネの首を載せた盆なわけです。
作品に描かれているのはかなり怖い状況なんですが、
静謐と情欲がせめぎあっているかのような絶妙なバランスでもって、
エロティックに描ききっているのが凄まじい。
もう一点、女性と死というテーマで描かれたデュルメルの作品を。
1900年発表、「オフィーリア」です。
ハムレットにおけるヒロインの悲劇の死を描いた「オフィーリア」は、
全体を緑で統一しており、「サロメ」とは対照的な仕上がりに。
どちらも色を通して深い精神性が伝わってくるような、
不思議な作品だと思います。
Ophelia(1900)
Lucien Lévy-Dhurmer
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