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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ドガ「エトワール」(ドガ展より)

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横浜美術館の「ドガ展」に行ってきました。
習作、写真、彫刻なども含めて全部で132点。
右を向いても左を向いてもドガドガドガ。
なんとも贅沢な展示でした。
意外に混んでて行列が遅々として進まないので、
習作とかは基本的にチラ見ですませて
有名どころや気になった作品で足を止めることに。
で、やっぱり足が止まったのはこちらの作品でした。


エトワール
Ballet dit aussi L'étoile(1876-77)
Edgar Degas




エドガー・ドガの代表作「エトワール」。
「ドガ展」の目玉でもあり、今回初来日なのです。
やっぱりこの作品は別格というか、
ほかの作品と比べても異彩をはなっていました。
照明を落としていることやここだけ壁が黒くなってたこととか、
展示の仕方ももちろんあるんだろうけど……
思わず足を止めてしまう何かがあるんですよね。
僕がこの絵から感じ取ったのは、悲壮感や孤独感など
どちらかというと負のイメージでした。


当時、バレリーナは娼婦のような存在だったんですね。
このへんの事情は中野京子さんの「怖い絵」に詳しいんですが、
「オペラ座は上流階級の男たちのための娼館」とも言われていたそうです。
当時の踊り子はみな労働者階級の出身で、
パトロン(愛人)がいなければ成り立たなかったとか。


実際、画中でもパトロンらしき男性が描かれています。
左上にたたずむ黒服の男性。顔がちょうど隠れているところにも
何かしら意図を感じてしまうわけですが……。
そして舞台袖からのパトロンの視線を背中で感じながら、
一心に舞う一人の踊り子。
その首には黒いリボンが巻かれ、
リボンの先は男性の方を向いていて、まるで男からの束縛を暗示しているような。
下方からの光を受けたその姿はどこか悲劇的でもあり、
広い舞台がなおさら彼女の孤独を暴き出しているようでもあり。


表情に関しては「没個性」といったご意見もあるようですが、
個人的には自分の境遇に酔いしれているような
女性の強さ、したたかさを感じてしまいます。
パトロンを利用してのし上がろうとする執念というか。
だからこそ失敗は許されず、
画面全体に緊張感がみなぎっているのかもしれません。


「ドガ展」は12月31日(金)までの開催。
「オルセー美術館展」のときと同じく開催2日目に行ったんですが、
混み具合はそのときと同じくらいという印象でした。
とすると、これから口コミで評判が伝わって
どんどん混んでいくかもしれません。
早めに行った方がいいかもですね。
公式サイトはこちらです。



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(2006/12/20)
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