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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ヴィジェ=ル・ブラン「マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ル・ブラン」

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どこか幼げな笑顔が印象的な自画像ですが、
実はこの女性、このとき35歳なんですよね。
う~む、自画像だから若々しいのか、それとも……


ヴィジェ=ル・ブラン
autoritratto(1790)
Élisabeth-Louise Vigée-Le Brun




マリー=ルイーズ=エリザベート・ヴィジェ=ル・ブランの
「マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ル・ブラン」。
損保ジャパン東郷青児美術館の
「ウフィツィ美術館自画像コレクション」で来日してますね。
彼女は王妃マリー・アントワネットの肖像を多く描いたことで知られており、
この絵のなかでも、描きかけの王妃の横顔が見て取れます。


ヴィジェ=ル・ブランは1755年の生まれですから、このとき実に35歳。
実は彼女、作品だけでなく美貌でも有名だったのだとか。
マリー・アントワネットに気に入られたのも、
もしかしたらその美しさが理由のひとつだったのかもしれませんね。
こちらは1783年の「薔薇を持つマリー・アントワネット」。

薔薇を持つマリー・アントワネット
Marie Antoinette en Chemise(1783)
Élisabeth-Louise Vigée-Le Brun




さて、マリー・アントワネットといえばフランス革命ですが、
ル・ブランも歴史の波に翻弄された一人。
皇帝と王妃が革命軍に捕らえられたその日から
身の危険を感じたル・ブランの逃亡生活が始まり、
本作はその1年後に描かれた作品。
逃亡生活の緊張感がまったく感じられませんが、
このときル・ブランは、フランス王政の永遠性を
まったく疑っていなかったんですね。
再び王妃マリー・アントワネットの寵愛を得る日が来るものと、
そう信じていたからこそ、逃亡中の自画像であっても
王妃を描くことを忘れなかったのでしょう。


自画像を描いてから1年後、
ル・ブランは同作のレプリカをナポリで描いており、
そこでは画中画は王妃ではなく、娘に変わっています。
その後も彼女はヨーロッパ各地で、肖像画家として名を馳せたようで
その作風から、「マダム・ルーベンス」「マダム・ヴァン・ダイク」なんて呼ばれたそうな。
僕はこの絵を見ると、強くしたたかな印象を受けるのですが
皆さんはどうでしょうか?


ところで来年3月に、三菱一号館美術館で
ル・ブランの企画展をやるみたいです。
タイトルは「王妃の画家ヴィジェ=ルブラン」、
副題は「マリー・アントワネットと18世紀の女性画家たち」。
来年が楽しみですね。



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