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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

フェルメール「絵画芸術(画家のアトリエ)」

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歴史上最大の芸術への愚行というと、ナチス・ドイツの美術品略奪が思い浮かびます。
その数、なんと2万点あまり(!)。
もちろん購入したものもあるんでしょうけど、それにしてもこの数は・・・。
ちなみにこちらのホームページで、
ナチスが略奪した美術品を検索することができます。
左上の検索ボックスで、たとえば「gogh」と入力すると
ゴッホの作品だけで11作品も出てくるわけで……。
なんともはや。


絵画芸術
The Art of Painting(1666-67)
Johannes Vermeer
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます




ヨハネス・フェルメールの名作「絵画芸術(画家のアトリエ)」もまた、
ナチスによって接収された作品のひとつ。
現在はウィーン美術史美術館に収蔵されていますが、
元の持ち主が返還を希望しているため手放すことになるかもしれないとか。
美術ファンとしては、個人蔵になってしまうと
お目にかかるチャンスが減ってしまうので複雑な心境ですが、
持ち主からしたら……。そりゃぁねぇ。


「絵画芸術(画家のアトリエ)」は過去に一度だけ来日しており、
絵画の素晴らしさを絵によって表現した作品。
フェルメールは死ぬまでこの作品を手放さなかったようで、
そのことからも重要度の高さがうかがえます。


こちらに背を向ける画家はフェルメール本人とも言われていますが、
スツールにはピーテル・デ・ホーホの文字が。
これは画家の死後、所有者が描き加えたもののようです。
フェルメールよりもホーホの方が評価されていた時代があったということでしょう。
そもそもフェルメール自体が一度は忘れ去られ、再発見された画家なので。
といっても「再発見」自体、
フェルメール作品の価値をつり上げるためのシナリオだったという説もあるようです。


制作年代としては傑作「真珠の耳飾りの少女」の少し後と見られてますが、
シンプルイズベストの同作とは極めて対照的。
全体に散りばめられた寓意画ならではの読み解きの楽しさも、
「絵画芸術(画家のアトリエ)」の魅力です。
たとえば女性が持つトランペットは「名声」を、
分厚い本は「歴史」を意味するなどなど。
壁にかけられた世界地図の偏執的なまでの細密描写も見所で、
フェルメールの室内画にたびたび登場する要素のひとつ。
床の格子模様もフェルメールならではですね。
全37作品(疑問視されているものも含む)のなかで、
約3分の1に格子模様の床が描かれています。


さて、来年、再来年はフェルメール作品が続けて来日するんですよね。
2011年3月には「地理学者」が渋谷BUNKAMURAに、
2012年には待ちに待った「真珠の耳飾りの少女」!!
こちらはどこの美術館になるかまだ決まっていないみたいですが、
東京・神戸でオランダ・マウリッツハイス美術館所蔵の
他の作品とともに来日するようです。
ついでに「デルフト眺望」も来てくれたらうれしいんだけどなぁ。
ちなみに「真珠の耳飾りの少女」は
1984年と2000年にも来日しているんですね。
今回見逃したら、10年以上は見られないと思ったほうがよさそうです。



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