ゴッホ「レストランの内部」
炎の画家、ゴッホ。
力強く激しいイメージが強いけど、
実は繊細な作品も多いんですよね。
Interior of a Restaurant(1887)
Van Gogh
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こちらは「レストランの内部」。
新印象派のジョルジュ・スーラやポール・シニャックを思わせる、
精緻な点描技法で描かれた作品です。
ゴッホがこの作品を描いたのは、1887年。
この前年に第8回印象派展が開かれており、
そこで次世代の旗手として注目を集めたのが
ジョルジュ・スーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」。
ゴッホはこの年にオランダからパリに移り住み、
画塾で親しくなったアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックと連れ立って
印象派展を訪れています。
元々印象派のムーブメントを知ってはいたものの、
実際に目にした作品はゴッホを強く揺り動かし、
特にスーラの作品から受けた影響が大きかったことは
想像に難くありません。
Un demanche après-midi á l'île de la Grande Jatte(1884-86)
Georges Seurat
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ただしゴッホは、点描技法や色彩理論に対して醒めた見方もしていたようです。
「点描とか、円光とかその他のものは、本当の発見だったと思う。
しかし、この技法がほかのもの以上に一般的なドグマにならないことは
今から予測できることだ」
この「レストランの内部」でも
すべてを点描技法で描いているわけではなく、
椅子の脚など別の筆致と組み合わせて描かれています。
後に彼が描いた自画像などの作品では
点よりも比較的長い、線に近い筆致で
点描技法が応用されています。
わずか37年の生涯で、ゴッホが画家を志したのは実に27歳のとき。
それから自らの命を絶つまでの10年間で、
彼は印象派の技巧を通り抜け、
誰の真似でもない、彼だけの画風を確立したわけです。
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