ベラスケス「ラス・メニーナス」
スペインの至宝、宮廷画家ディエゴ・ベラスケスの代表作「ラス・メニーナス」。
絵画のオリジナル・タイトルは「王の家族」なのに、王と王妃は鏡の中。
318×276cmの大画面に描かれた集団肖像画の中央にちんまりとおさまるのは、
皇女マルガリータの愛らしい姿なのです。
その理由とは……?
Las Meninas(1656-57)
Diego Velázquez
※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。
当時、スペイン宮廷では後継者問題が悩みの種だったそうです。
鏡にうつるスペイン王フェリペ4世と王妃マリアナの間には、
長女マルガリータの後になかなか子どもが生まれず、
4年後に生まれたのも女児で、すぐに亡くなってしまったとか。
男児の誕生を願うのは王宮の常ではあるものの、
このときフェリペ4世はすでに50代。
そこで浮上したのが、マルガリータをスペインの正式な後継者に、
将来の女王として擁立しようという考えでした。
これを内外に知らしめるために、
マルガリータを中央に据えた
「ラス・メニーナス」が描かれた、という説があるそうです。
しかし運命の歯車は思わぬ方向に回転し、
マルガリータはまったく異なる道を歩むことになるわけですが……。
このへんの経緯は、
中野京子の「残酷な王と悲しみの王妃」に詳しく書かれています。
西洋文化史の専門家ならではの視点で
スキャンダラスかつドロドロした王宮の愛憎劇を暴く傑作。
美術好きの皆さんにもおすすめの一冊です。
「ラス・メニーナス」に関しては語るべきことがもっとあるんですが、
そのへんも同じく中野京子の「怖い絵 2」を読んでいただくのがよいかと。
拙文よりも、はるかに参考になりますゆえ。
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