鏑木清方「朗羅」
東の清方、西の松園。
どちらも日本画壇を代表する美人画の名手ですが、
個人的には鏑木清方の方が好き。
上村松園の場合は女性が描く理想の美人画なだけあって、隙がない気がするのです。
一方鏑木清方の場合は、あざといくらいに、隙を感じる。
でも男ってやつは、そういう女性に惹かれてしまうんですよ。
……ですよね?
Roller Canary(1933)
Kiyokata Kaburaki
※クリックすると拡大してご覧いただけます。
こちらは鏑木清方の「朗羅」。
ニューオータニ美術館の「日本画に見る四季の美展」で展示されてます。
「朗羅(ローラ)」はカナリアのことだそうで、
丸テーブルに手を置いて籠の中のカナリアを見つめる女性が描かれています。
わずかに口をあけた無防備な表情がこれまた。
そして足元に目を落とすと、何ともハイカラな履物と敷物。
カナリアは左向き、
それを見つめる女性も左方向に体を傾けていて、
クロスも左側に垂れ下がってますね。
で、左方向の力に抗うかのように、
テーブル上の赤い花は右側に不自然に傾いている。
何だか面白いバランスの取り方。
見れば見るほど、色んな発見のある一枚です。
僕は基本的に単純な人間なので、
こういう美人画を見ると谷崎の「細雪」を読み返したくなります。
正月に実家に帰ったらまた読んでみよう。
あれ、でも「細雪」の舞台は大阪だったな。
でも谷崎は東京生まれだし……まぁいいか。
ちなみに4姉妹のなかでは、ぶっちぎりで雪子さんです。
ニューオータニ美術館の「日本画に見る四季の美展」では、
清方の作品はこのほか「秋の色種」「春宵」「美人四季」が展示されてました。
ホームページはこちらをご覧ください。
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