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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ピーテル・ブリューゲル「バベルの塔」

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昨日行って来た渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムですが、
7月17日からは「ブリューゲル版画の世界」という企画展を予定しているそうで。
これ、かなりおもしろそうです。
ピーテル・ブリューゲルといえば、
言わずと知れたネーデルランド絵画の巨匠。
版画ではヒエロニムス・ボッス風のグロテスクな作品を多数発表しており、
「ブリューゲル版画の世界」ではそっち系の作品が並ぶようで。


さて、版画作品については展示を見てから紹介するとして、
ブリューゲルといったら、やっぱりこれでしょう。
1563年発表の代表作、「バベルの塔」!
旧約聖書に登場する、人間の驕りの象徴ともいえる建造物。
天にも届かんばかりのその高さは神の怒りに触れ、
途中で建設中止を余儀なくされたとか。


バベルの塔
The Towar of Babel(1563)
Pieter Brueghel the Elder




本作の手前の一団は、ノアの子孫、ニムロデ王の一行。
バベルの塔建設の首謀者ですね。
その他画面のいたるところに人間の立ち働く姿が描かれており、
巨大な塔が着々と完成に近づきつつあることが見てとれます。
海には船が並び、遠景には家々が連なります。
この緻密さこそが、ブリューゲルの真骨頂といえるでしょう。


実はこの「バベルの塔」の翌年、
ブリューゲルはもう1枚の「バベルの塔」を完成させます。
塔自体の建築はさらに進んでいるものの、
黒雲が垂れ込め、港や街は荒廃し、
バベルの塔も崩壊へと向かっているかのようです。
頂上へ行くほどに赤く染まって行く威容も、
何か不穏なものを感じさせます。

バベルの塔



版画家として奇怪な生き物たちを生み出し、
農民画家として民衆の悲哀、喜びを描いたブリューゲル
彼にとって、バベルの塔は滅んで当然の存在だったのかもしれません。



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