フクロウ
本日11月23日は、ベルギー出身の画家レオン・スピリアールトの命日。
オディロン・ルドンに強く影響を受けたスピリアールトは
深い黒と青を基調とした作品を発表していきます。
見る者に不安を抱かせる数々の自画像や
幻想的な「めまい」が有名ですが、
なかにはこんな可愛らしい作品も。
The Owl(1919)
Léon Spilliaert
※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。
1919年発表の「フクロウ」。
スピリアールトは散歩中にフクロウを観察するのを好んだそうで、
この年、フクロウを題材にした作品を多く描いたのだとか。
ぱっちりおめめが何ともキュートですね。
と、ここでちょっと違和感が。
……散歩中にフクロウ?
実はスピリアールトは不眠症に悩まされており、
夜中に野外を徘徊する習慣があったそうです。
多くの作品に共通するどんよりした暗さには、
こうした生活習慣も影響しているわけですね。
こうして考えてみると、
この「フクロウ」という絵もただ可愛いではすまされないような。
心の内側まで見透かされそうな、無言の圧力を感じてきました。
鬱蒼と茂ったベルギーの森、
闇夜に光るフクロウの瞳。
その首は左右に180度回転し、
どこに隠れても視線が追いかけてくるわけです。
まるで監視されているような……。
ちなみにフクロウは
ローマ神話の女神ミネルヴァの使いであり、
知性を象徴する生き物とされています。
「ミネルヴァのフクロウは黄昏に飛び立つ」なんて言葉もありますね。
不眠症患者のスピリアールトは、
フクロウをどんな気持ちで見つめていたのでしょうか。
自分を監視し、咎める存在だったのか、
それとも夜に彷徨う自分を正当化してくれる存在だったのか。
ねぼすけの私には想像もつきません。
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