犀
日曜に行った国立西洋美術館のデューラー展ですが、
個人的に見てみたかったのは、こちらの「犀」でした。
いろいろいわくつきの作品なのです。
Rhinoceros(1515)
Albrecht Dürer
※クリックすると拡大してご覧いただけます。
そもそもデューラーは、実際にサイを見たことがないんですね。
この版画をデューラーが発表したのと同じ年、
1515年にヨーロッパにインドサイが持ち込まれており、
それを描いた簡単なスケッチをもとに、
デューラーは想像力を駆使してこの版画を作成したわけです。
以来1579年までヨーロッパでサイを見ることはできなかったため、
このデューラーの作品がサイを正確に描いたものとして普及してしまったと。
よく見ると首の後ろあたりに角があったり
実際とは異なる部分がいろいろあるんですが、
なんといってもリアルですからね。
本物のサイがこの姿だと信じてしまうのも無理はありません。
ちなみに同じ1515年、ハンス・ブルクマイアーという画家が
ペンとインクでサイを描いています。
デューラーの作品よりは形態的に実物に近いものの、
やはり作品の完成度、魅力としてはデューラーにかなうべくもなく。
本物のリアリティさえも超越する版画を、
デューラーはものにしたということでしょうか。
Rhinoceros(1515)
Hans Burgkmair
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