和服を着たベルギーの少女(大原美術館特集 1)
木曜に大阪出張だったので、思い切って金曜はお休みをいただいて
東京→大阪→倉敷→山口というぶらり一人旅に行ってまいりました。
大阪はたびたび訪れてるので早々に切り上げて、
木曜のうちに倉敷に移動。
翌朝まず向かったのが、大原美術館です。
この旅の主目的のひとつで、一度は行ってみたかったんです!
ちょうど創設80周年を記念して「大原美術館名作選」というのをやっていて、
見たかったものから全然知らなかったものまで、
素敵な作品がずらりと並んでいました。
ということで、しばらく大原美術館特集です。
Belgian Girl in Kimono(1911)
Kojima Torajiro
※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。
展示は4つの会場に分かれていて、
まずは西洋絵画を展示している本館へ。
入り口正面で最初に出迎えてくれるのが、
児島虎次郎の「和服を着たベルギーの少女」です。
……さっき西洋絵画って言ったじゃん、って突っ込まれそうですが、
児島が本作を描いたのは留学中のベルギーにて。
モデルはベルギーの少女、服装は和服ということで、
日本と西洋のエッセンスが幾層にも重なった、
まさに大原美術館の理念、倉敷という街の文化を象徴する作品として、
入り口正面に記念碑的に配置されているようです。
華やかな色彩が印象的な本作ですが、
よく見ると肌や左上の窓、柱などは
ベルギー印象派・光輝主義(リュミニスム)の画家、
エミール・クラウス風の細かなタッチで描かれているのに対し、
衣装や壷などはまったく異なる筆遣いなんですね。
今にも筆触が踊りだしそうな、動きのあるタッチ。
留学中に様々な技法を貪欲に吸収し、
ひとつの形式にとらわれなかった児島の姿勢があらわれているようです。
ちなみにベルギー滞在中、児島は本作に関して
エミール・クラウスに助言を求めています。
「此れは君が絶えず傍らにおいて
新しい作品を描きたるごとに比べてみたらよい。
画家にも音楽家の要する様に、音叉なるものが必要である。
此の絵は君の音叉として保存して置くべきものである」
ベルギーの大家からのお墨付きを得て
画業への自信を深めた児島ですが、
この作品が今、大原美術館の、ひいては倉敷の音叉として
大切に保管されているのは、何とも感慨深いものがあります。
さて、ちょっと話を変えまして。。。
和装の外国人女性を、印象派のタッチで描いた作品といえば。
ぱっと思い浮かぶのはクロード・モネの「ラ・ジャポネーズ」ですね。
こちらでは見返り美人風のポーズをとって、
扇子を片手に笑顔を振りまく愛妻カミーユが描かれています。
一方、児島の「和服を着たベルギーの少女」は
どこか表情がぎこちないというか、
慣れない和装で緊張しているような恥じらいの雰囲気も。
精神性としては、やっぱり児島の作品のほうが日本的かもしれませんね。
皆さんはどっちが好みでしょうか?
Left:La Japonaise(1875)
Claude Monet
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