りんご採り
印象派の面々のなかでただ一人、
全8回にわたる印象派展に出品し続けた画家、カミーユ・ピサロ。
国内で開かれる印象派関連の展覧会には
たいてい彼の作品が出品されていますが、
どんな作品だったかと思い出そうとすると「あれ?」ってことがよくあります。
美術館での扱いのせいなのか、どうも地味なイメージなんですね。
でも、大原美術館で見たこの作品は一目見て気に入ってしまいました。
Apple Picking(1886)
Camille Pissarro
カミーユ・ピサロ「りんご採り」。
りんご農園で働く女性たちですが、
手前の1人は腰を下ろして一休み、りんごをかじっています。
なんとものどかな昼下がり、見ているだけで心がなごみますね。
そして色使いといい影の配置といい、
なんだか織物のような印象を受けます。
さて、この「りんご採り」ですが、
よく見ると空が描かれていないんですね。
「りんご採り」なのに、りんごの木も右上に1本だけ。
後は3人の女性と、大地が描かれているだけです。
空や水面の変化を描き続けたモネに対して、
ピサロは大地に深い関心を寄せた画家。
グループの画家たちより10歳以上も年長で温厚な性格だったことから
画家たちのまとめ役として慕われていたのだとか。
印象派の土台を支え続けたピサロが心惹かれたのが大地だったというのも、
何だか意味深い気がしませんか?
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