万有は死に帰す、されど神の愛は万有をして蘇らしめん(大原美術館特集 4)
劫火に焼かれ、死に絶える人々。
眠りから覚め、息を吹き返す人々。
そして神のもと、この世の春を謳歌する人々。
9枚で1セットのこの大作には、
とにかく数えきれないほどの人が描かれています。
その迫力と威容たるや……。
All Things Die, But All Will Be Resurrected Through God's Love(1893-1918)
Leon Frederic
※クリックすると拡大してご覧いただけます。
ベルギー象徴主義の画家、レオン・フレデリック作、
「万有は死に帰す、されど神の愛は万有をして蘇らしめん」。
高さ約1.6m、横幅は実に11m。
フレデリックは25年もの歳月をかけて、この作品を描き上げたそうです。
左の3枚は、まさに地獄絵図。
炎に蹂躙された無数の死体が積み重なります。
上部には、目に手をあて惨状を見まいとする神の姿も。
次に中央のパネルでは、一転して復活の場面。
氷河が溶け始め、鳩が舞い、澄み切った大気のなかで
徐々に目を覚ます人々が描かれています。
最後に右の3枚では、緑があふれ、花が咲き誇り、
空には大きな虹がかかっています。
神々が見守る中で人々は感謝を捧げ、
歓喜の表情で立ち上がります。
それにしてもまぁ、よくこんなの描いたよなぁと感服してしまう。
一体どれだけの人が描き込まれているのやら。
大原美術館2階に飾られた本作は建物の横幅にぴたっと収まっていますが、
実はこの絵をもとに、美術館のサイズが決定されたのだとか。
この絵もずっと実物を見てみたかった1枚なんですが、
正直1回見ただけで咀嚼しきれるものではないですよね。
また見に行きたいなぁ。
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