ピーテル・ブリューゲル「イカロスの墜落のある風景」
なんとなく、昨日の記事のオチがイマイチだったので・・・
もう一回、ピーテル・ブリューゲルです。
本日紹介するのは、初期の傑作「イカロスの墜落のある風景」。
「イカロスの墜落」ではなく、
「イカロスの墜落のある風景」。
その意味とは・・・?
Landscape with the Fall of Icarus(1556-58)
Pieter Brueghel the Elder
分かりますか?
イカロスがどこにいるか、見つかりました?
画面右下に注目すると、何やら水面に足がにょきっと出ています。
これこそが、無惨にも海に墜落したイカロスの姿なのです。
イカロスは神話に登場する人物で、
クレタ島のミノス王の不興を買い、
父親とともに塔に幽閉されていました。
しかし彼らは、鑞で固めた翼で塔から脱出を図ります。
無事空を飛んで塔を後にしたのもつかの間、
イカロスは高く高く、天を目指して飛んだがゆえに
太陽の熱で鑞の翼が溶け、墜落してしまいます。
「イカロスの墜落のある風景」で描かれるのは、
まさにこの墜落の瞬間。
ですが前景の人々はそのことに気づくそぶりも見せず、
黙々と農作業を続けています。
考え方によっては、太陽を目指し身を滅ぼした青年の悲劇として
もっとドラマチックに描くこともできたはず。
ですがブリューゲルはそれをせず、
そんなドラマとは無縁、無関心な農民の姿を描いています。
欲望におどらされる愚かさよりも、
淡々と毎日の作業に勤しむ農民の姿と牧歌的な風景こそ
ブリューゲルが描きたかったことなのかもしれません。
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