マドンナ(大原美術館特集 5)
マドンナと呼ぶには、あまりにも退廃的で
どこか愁いの漂う作品。
大原美術館特集第5回は、エドヴァルド・ムンクの「マドンナ」です。
Madonna(1895-1902)
Edvard Munch
左下に胎児、周りには精子。
中央には苦悶とも恍惚とも取れる表情の、影のある若い女性。
「マドンナ」のモデルとなったのは、
ムンクが当時思いを寄せていたダグニー・ユールといわれています。
ダグニーはファム・ファタールと呼ぶにふさわしい、恋多き女。
そしてムンクにとっては手の届かない存在だったようです。
5歳のときに結核で母をなくし、
14歳のときに同じく結核で姉をなくし、
その後女性との交際はあったものの生涯独身を貫いたムンクの
女性に対するどこか暗い感情が、この作品にあらわれているのかもしれません。
……と思いきや、「マドンナ」には全部で5つのバージョンがあり、
そのうちの1枚はまったく違った印象なんですよね。
やはり同じように表情に翳りがあるものの、
全体的には赤や金、黄色といった暖色が用いられており、
大原美術館の作品とは対照的に、暖かく神々しい印象。
どちらがマドンナ(聖母)らしいかといえば……いかがでしょうか。
Madonna(1894-95)
Edvard Munch
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