パガニーニの肖像
天は二物を与えずというけれど、
決してそんなことはないわけで。
その典型的な例が、今回ご紹介する一枚。
Portrait of Niccolo Paganini
Jean-Auguste-Dominique Ingres
ドミニク・アングルの「パガニーニの肖像」。
19世紀前半に活躍した天才バイオリニスト・パガニーニを描いた作品で、
素描のすばらしさもさることながら、
何より驚きなのはアングル自身が
パガニーニも認めるほどのバイオリン奏者だったということ。
四重奏の第二奏者にアングルを指名したこともあったそうで、
「アングルのバイオリン」は「玄人はだし」という意味で使われるそうな。
ただし「下手の横好き」という意味の場合もあるらしく、
実際の演奏技術に関しては諸説あるようです。
ちなみにマン・レイは「アングルのバイオリン」と題して、
こんな作品を発表しています。
いかにもアングルっぽいフォルム。
ただし、アングルは写真の普及が絵画に与える影響を危惧して
フランス政府に写真の使用を禁止するよう抗議したことがあるそうで。
写真を追放して絵画を守ろうとしたアングルと、
写真をアートに高めようとしたマン・レイ。
う~む、どっちもすごい。
Le Violon d'Ingres
Man Ray
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