ジェローム「ローマの奴隷市場」
かつて古代ローマでは女性の地位が低く、
奴隷として売買されるケースも多かったとか。
ジャン=レオン・ジェロームの「ローマの奴隷市場」は、
あわれ女性が値踏みされ、売られていく瞬間を描いた作品です。
奴隷の是非や女性蔑視の問題のことはさておいて。
それにしても、ちょっと不思議なポーズですよね。
ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」のような
胸と股間を隠したいわゆる恥じらいのポーズなら分かるんですが、
この作品では自らの肉体を見せつけているかのようですし、
その一方で顔を右腕で隠し、不安を押し殺しているようでもあり・・・。
足元にはいやらしい表情のオヤジの群れ。
「あんたたちの顔なんて見たくないわ」ってことなんでしょうか。
いろんな想像(妄想)をかきたてるこのポーズですが、
実は単純にジェロームの好みの問題らしいです。
そういえば、前回紹介した「ピュグマリオンとガラテア」も似てますよね。
折り畳まれて角度が強調された肘やぴたっと閉じられた両脚。
ポーズのせいかは分からないけれど、確かに美しいです。
服を脱ぎ去り、男たちの好奇の目にさらされる全裸の女性。
そして画面左下で、黒い布に身を隠し虚ろな表情の女性。
奴隷として売られていく彼女たちの運命やいかに・・・?
次回、ジェロームの別の作品をもとに、
知られざる奴隷女性の物語を紹介します。
ぽちっとお願いします!
■追記
冒頭の文章について、ご指摘をいただきました。
誤解を与えるような表現であったことについて、まずお詫び申し上げます。
「女性の地位が低く、奴隷として売買されるケースも多かった」という記述ですが、
必ずしも地位が低かったから奴隷になるというものではなく、
また女性だけが奴隷であったというわけでもありません。
民族間の諍いや戦争など、様々な要素が絡み合うナーバスな問題です。
また、女性の方々のなかには気分を害された方もいらっしゃるかと思います。
今後、こういった表現に関してはもっと慎重に構えるよう留意いたします。
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