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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ハント「キリストと2人のマリア」

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「ラファエル前派からウィリアム・モリスへ」より、もう一点。
ウィリアム・ホルマン・ハントキリストと2人のマリア」です。
ハントらしい、いかにも艶やかな筆致。
一歩間違えれば毒々しくもなりかねない色使い。
これらの絶妙なバランスが、えも言われぬ神々しさを演出しています。


キリストと2人のマリア
Christ and the Two Marys(1847、1897)
William Holman Hunt
※画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。



ハントは1847年、20歳前後でこの作品に取りかかるも、
イメージとのギャップを埋められず、翌48年に制作を放棄してしまいます。
ラファエル前派の結成がちょうどこの年で、
グループの一員として数々の作品を発表し、
グループ崩壊後もその理念にこだわり続けたハントが
再び「キリストと2人のマリア」の制作を再開したのは1897年。
実に50年もの歳月を経て、この作品を完成させたわけです。


包帯に巻かれたキリストの背後には円形の虹が、
光輪のように輝いています。
雲は赤く染まり、キリストの髪もみごとな赤毛。
左の脇腹に傷が見えるものの、
「復活したキリスト」というにはどうも健康的すぎる気もします。
聖骸布ではなく包帯なのも意味深ですね。
キリスト教ではこういう風に描写されてるのかな?
足元の布が聖骸布?
両手を広げ、つま先を重ねた姿は磔刑を想像させますが……。


さて、キリストを描いたハントの代表作といえば、
忘れてはならないのが「死の影」。
一日の労働を終えたキリストの姿を描いた作品で
こちらもキリストのポーズは磔刑を想起させますが、
あまりにも労働者じみた描写が反感を買ったらしく、
神への冒涜だと非難が巻き起こったのだとか。
こちらの「死の影」は、
いかにも世俗的な生前のキリスト像。
そして「キリストと2人のマリア」は、
いかにも健康的な死後(復活後)のキリスト像。
キリストのイメージから逸脱した、両極端ともいえる2作品ですが、
だからこそ良くも悪くも、見る者の心に強く訴えかけるんでしょうね。

死の影
Shadow of Death(1870~73、1886)
William Holman Hunt




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