ココシュカ「アルマ・マーラーの肖像」
昨日のウィーンの音楽にちなんで、
今回はウィーン出身の画家を紹介します。
クリムトに見出され、クリムトに見放された画家。
その名はオスカー・ココシュカ。
Alma Mahler(1912)
Oskar Kokoschka
こちらは国立近代美術館所蔵の
ココシュカ「アルマ・マーラーの肖像」です。
筆遣いは荒々しいけど、色調は淡くやわらかく
恋の激しさと優しさを同時にキャンバスに封じ込めた傑作だと思います。
アルマ・マーラーは、ウィーンの作曲家グスタフ・マーラーの未亡人。
かつてはあのグスタフ・クリムトと恋に落ちるなど、
ウィーン社交界の華として奔放な恋愛を繰り返した女性でした。
2人の出会いは、1912年。
ココシュカからの「妻になってください」というラブレターに対して、
アルマは「傑作を描いたら結婚してあげる」と返答します。
ちょうどこの「アルマ・マーラーの肖像」が描かれたのがこの年ですから、
アルマとの結婚を夢みて、ココシュカが絵筆をふるったであろうことがうかがえます。
病的な激しさを内に秘めたココシュカと、
享楽と官能に生きるアルマ。
2人の関係は、2年ほどで破綻してしまいます。
一度醒めてしまった情熱ほど無惨なものはなく、
アルマは別の男性と関係を持つようになり、
どうしようもない煩悶を抱えながら、ココシュカは1枚の絵を完成させます。
それが、彼の代表作「風の花嫁」。
暗い色調と歪んだ筆遣い、
泥沼の底に沈んでいくような、重苦しい世界。
元々は、明るい色彩で描かれていたのだそうです。
アルマへの不信を募らせ、狂おしさに身を焦がしながら
塗り重ねていった絵の具は苦悩の色だったわけですね。
Bride of the Wind(1913)
Oskar Kokoschka
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