フーゴー・ヘップナー「光への祈り」
すっかり体調を崩してしまい、
今日は一日引きこもってました。
さすがに一歩も外に出ないのはキツイですね。
やっぱりお日様に当たらないと、精神衛生上よろしくない。
Lichtgebet(1894)
Hugo Höppener
ということで、この一枚。
フーゴー・ヘップナー「光への祈り」です。
岩壁に立ち、全身で光を受け止めようとする少年。
あらん限りに体を大きく開いた一糸まとわぬ姿には、
ある種の神々しさが漂います。
ヘップナー(通称フィードゥス)は、ドイツ出身の画家。
1887年に「自然の使徒」ディーフェンバッハのコミュニティに参加し、
ここで太陽崇拝、ヌーディズムといった
自然崇拝思想に傾倒していきます。
本作にも、この考え方が如実にあらわれていますね。
ちなみに「フィードゥス」というニックネームは
ディーフェンバッハが付けたもので、意味は「忠実なる者」。
自然崇拝思想に忠実だったヘップナーは、
その後ナチスドイツの宣伝活動に協力するようになります。
狂える国家にさえ忠実であるというのは、
この時期の多くの画家に共通する悲劇なのかもしれません。
さて、ヘップナーの「光への祈り」とは
対照的な一枚も合わせてご紹介しましょう。
カスパー・ダーフィト・フリードリヒの「霧の上の放浪者」。
制作時期は、ヘップナーよりも80年近く前。
岩の上の人物という構図は共通していますが、
かたや天の光に焦がれる野性的な姿、
かたや雲海を透かして地上を見つめる理知的な姿。
同じドイツの画家ながら、
時代が違うせいか精神性は全く異なるのが興味深いですね。
The Wanderer Above the Mists(1818)
Caspar David Friedrich
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