フリードリヒ「海辺の修道僧」
風が立ち、浪が騒ぎ、
無限のまへに腕を振る。
(中原中也「盲目の秋」より)
Monk by the Sea(1809)
Caspar David Friedrich
前回ちらっとドイツロマン主義の画家、
カスパー・ダーフィト・フリードリヒの作品に触れたので
今回も彼の作品をご紹介します。
1809年の「海辺の修道僧」です。
何もない空、何もない海。
果てしなく広がる「無限」の前で、
一人立ちすくむ修道僧の姿。
その胸に宿るのは絶望なのか希望なのか、
見る人によって180度印象が変わる作品だと思います。
少年時代、フリードリヒはスケート遊び中の事故で
一つ下の弟を亡くしています。
氷が割れて溺れかけたフリードリヒを助けようとして、
逆に弟が溺死してしまったんですね。
この事件は彼の人生に大きく影響を与えており、
自分を責めて自殺未遂を起こすこともあったとか。
フリードリヒの作品の多くに共通するのが
荒涼とした風景に対峙する人物という構図ですが、
失われたものを求めようとする彼の心情が、
作品にあらわれているのかもしれません。
それでは以下、「海辺の修道僧」に近い雰囲気の作品をご紹介します。
こちらに向けられた背中から、皆さんは何を感じ取るでしょうか?
Abtei im Eichwald(1810)
Flachlandschaft am Greifswalder Bodden(1830~34)
Frau am Fenster(1822)
Frau vor untergehender Sonne(~1818)
Moon Rising Over
Sunset
The big enclosure(1832)
The Evening
Man and Woman Contemplating the Moon(1830~35)
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