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セガンティーニ「悪しき母たち」


新印象派風の明るいタッチで、
アルプスのきらめく風景を描いたジョヴァンニ・セガンティーニ。
しかしその一方で、彼はこんな作品も描いています。


悪しき母たち
The Evil Mothers(1894)
Giovanni Segantini
※画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。



セガンティーニ「悪しき母たち」。
前回ご紹介した「アルプスの真昼」の2年後、
1894年の作品です。
凍てついた雪原で、枯れ枝に搦めとられた女性たち。
画面右側の女性の胸元に目をこらすと、
右脇から顔を出した幼子が一心に乳を吸っているのが分かります。
悲鳴さえもかき消されてしまいそうな氷の世界で、
幼子の小さな命はやがて悪しき母を救済する光となるのです。


本作は、イリカの「涅槃」という詩をもとに描かれた作品。
罪を犯した女性の魂が雪原をさまよい、
母親としての役割に目覚めることでその魂は救済される、というもの。
以下、イリカ「涅槃」より。

 寒々とした谷間に枝々が絡み合う。
 見よ、あらゆる枝から、苦しみながら愛を求める魂が声をあげているーー
 来てください! 私のところへ、ああ、お母さん!
 来て、私に乳房を、命を与えてください!
 私は許しました! 亡霊は打ち震える枝に乳房を差し出す。
 なんたる脅威! 枝には命が宿っている!
 赤子の顔が乳房にむしゃぶりつく
 ……そして、赤子と母親は抱き合ったまま樹から落ち、涅槃へ入る。



よく見ると、画面左側の山肌にくらべて、
右側の方が陽の光に照らされて暖色に染まっています。
冷えきった魂は光に包まれ、やがて天に召されていくのでしょう。


セガンティーニが幼くして母を亡くしているのは、前回書いたとおり。
二度と会えぬ母への思いが、
セガンティーニにこうした作品を描かせたのかもしれません。
作品の世界が罪と罰だけで終わらないところに、
見る者も救いを感じるわけですが。。。
ちなみに今回メインでご紹介した「悪しき母たち」は、
ウィーンのベルヴェデーレ宮殿内にあるオーストリア・ギャラリーのもの。
同じタイトルの作品がチューリヒ美術館に所蔵されていて、
そちらは青一色の、深い精神性が漂う一枚です。

悪しき母たち2
The Evil Mothers(1894)
Giovanni Segantini



さて、今春に損保ジャパン東郷青児美術館で予定されている
「アルプスの画家 セガンティーニ」ですが、
こちらにサイトがオープンしていました。
4月29日から7月3日まで、
昨日ご紹介した「アルプスの真昼」も展示されるようで、
しかも大原美術館のものと、
スイスのセガンティーニ美術館のものを
2点同時に見られるそうです!
そのほか、象徴主義風の作品も含めて60点ほどが集まるとか。
これは楽しみです♪



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Giovanni SegantiniGiovanni Segantini
(2011/01)
不明

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