ピカソ「腕を組んですわるサルタンバンク」
今日はブリヂストン美術館の
「なぜ、これが傑作なの?」を見てきました。
コレクションのなかから約120点を展示し、
代表的な12点には詳細な解説文を付けるというもの。
全体的な感想は後にまわすとして、まずはこの作品を。
Saltimbanque Seated with Arms Crossed(1923)
Pablo Picasso
パブロ・ピカソ「腕を組んですわるサルタンバンク」。
1923年、「新古典主義の時代」の作品です。
サルタンバンクは軽業などを見せる大道芸人のこと。
サーカスなどには属していないため
その日暮らしの貧しい生き方をイメージしてしまいますが、
本作で描かれるのはゆったりと腕を組み思索に耽る、超然とした姿。
輪郭線の力強さや乳白色の色合いもあって、
彫刻のような印象も受けますね。
これと同じ年、ピカソは「恋人たち」という作品を描いています。
そこに描かれている男性は……あれ、同一人物ですね。
共に手を取り、親密な雰囲気の「恋人たち」。
一方「腕を組んですわるサルタンバンク」では、
女性の姿は見当たりません。
The Lovers(1923)
Pablo Picasso
いやいや、実は「腕を組んですわるサルタンバンク」にも、
元々は女性が描かれていたんです。
赤外線カメラで撮影したところ、
男性の右肩に頭をあずけて寄り添う
女性の姿が見つかったのだとか。
互いの顔が触れ合わんばかりで
「恋人たち」よりも距離感は縮まっているものの、
結局ピカソはこの女性を消してしまうんです。
その理由は分かりませんが、なんとも意味深ですね。
ちなみにこちらは、同じくサルタンバンクを描いた
「サルタンバンクの一家」。
1905年、「薔薇色の時代」の作品です。
ピカソは初期からこうした芸人たちを描いており、
「腕を組んですわるサルタンバンク」にも、
何かピカソの深い思いが込められているのかもしれません。
The Family of Saltimbanques(1905)
Pablo Picasso
さて、ブリヂストン美術館の「なぜ、これが傑作なの?」ですが、
こうした傑作にまつわるエピソードなどが盛りだくさん……
実はよくわかりません(笑)
作品の横に詳細な解説文があるんだけど、
あまりに文字が多くて読む気がしないんですよね。
文字数はだいたい2000文字くらい、
見出しとか参考写真はなくて、
ひたすら文字がずらーっと。
新聞の記事広告15段(1ページ)の
文字量が大体3000文字ですから、
まぁ絵画そっちのけでその場で読み込む気にはならないです。
この辺は正直企画倒れというか、企画タイトルで失敗したかな、と。
展示されてる作品はホント素晴らしいものばかりなので、
何とももったいない。
企画が……とか文章が……とか、
そういうこだわりをなくせば充分楽しめると思いますよ。
展示は4月16日まで、サイトはこちらです。
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