ルドン「人間」
木炭画やリトグラフによる黒の時代を経て、
神々しいまでの輝きを放つ、色彩豊かな作風に転じた
フランスの幻想画家、オディロン・ルドン。
彼の最晩年の作品が、こちらです。
L'homme primitif(1915-16)
Odilon Redon
オディロン・ルドン「人間」。
淡いパステルの色彩のなかで、
人間のシルエットだけが黒く塗りつぶされています。
「狩人」とも呼ばれるこの作品、
ルドンの画家としての歩みを考えると、何とも意味深です。
未完成のようにも見えるけれど、
黒はどう考えても黒なわけで。
そこに何らかの意図があったと考えるほうが自然ですよね。
ルドンは黒という色彩について、次のように書き記しています。
黒を大事にしなければならない。
黒は何ものにもけがされることがない。
黒は眼を楽しませてくれるわけではないし、
肉感性を目覚めさせてくれるものでもない。
黒は、パレットやプリズムの
美しい色以上に精神の活動家なのだ。
「人間」において、ルドンはどんな意図で
黒という色彩を用いたんでしょうね。
上述のような「精神の活動家」としてなのか、
それともまた別の意味があったのでしょうか。
いずれにせよ、こうした謎もルドンという画家の魅力なんだと思います。
そして……人間ってほんと不思議だな。
この絵を見ていると、そんなことをつくづく思うのです。
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