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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

レンブラント「アトリエの画家」

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空虚な部屋。
イーゼルの大きさに比して画家の存在は何だかちっぽけで、
表情もどこか虚ろな気がします。
レンブラント・ファン・レイン「アトリエの画家」。
見るだに不思議な一枚です。


レンブラント_アトリエの画家
Artist in His Studio(c.1628)
Rembrandt van Rijn




イーゼルは左上方からの光を受け止め、
その影が画面右下に伸びています。
光はイーゼル、つまりは作品のためにあるとでも言わんばかり。
イーゼルの反対側と画家の姿を描いた作品というと
思い浮かぶのはベラスケスの「ラス・メニーナス」ですが、
ベラスケスの作品は画家が絵の中で描いている対象が想像できるのに対し、
この「アトリエの画家」では何が描かれているのか、
あるいは何を描こうとしているのかが全く分からないんですよね。
それがまた見る者を惹き付けるわけですが……。

ラス・メニーナス
Las Meninas(1656-57)
Diego Velázquez




それを考えると、やっぱり画家の扱いが気になります。
部屋の隅に、影にまぎれるように立つ画家はレンブラント自身だそうですが、
衣服は比較的丁寧に描き込まれているのに対して、顔が……。
24.8×31.7cmという作品自体のサイズの問題もあるにせよ、
数多くの自画像を残したレンブラントにしては、
ちょっと表情が物足りなくもあり。
重要なのは作品そのものであって、画家の存在ではない。
そういうことなんでしょうか?


上野の国立西洋美術館で開催中の
「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」では、
レンブラントの明暗表現を思う存分堪能できます。
前回・今回とご紹介した油絵はもちろん、約100点もの版画も必見。
ということで、次回はレンブラントの版画作品を紹介します。




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(2001/07/11)
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