ポインター「レスビアとスズメ」
スズメと戯れる、美しい女性。
ラファエル前派の画家、エドワード・ジョン・ポインターの
「レスビアとスズメ」です。
Lesbia and her Sparrow
Sir Edward John Poynter
この「レスビアとスズメ」は、
古代ローマの詩人ガイウス・ウァレリウス・カトゥルスの
恋愛詩によるものと思われます。
レスビアは女性詩人サッフォーの異名で、
ギュスターヴ・モローがサッフォーを題材にした作品を多く描いてますね。
女性同性愛者を意味する「レズビアン」も、ここから来ているようです。
では、カトゥルスの「雀が死んだ」より一部引用。
悲しんでくれ、おお愛と欲望の神々たちよ、
人間の喜びに関わる限りの神よ。
私の恋人の雀が死んだ。
彼女が目に入れても痛くないくらいに可愛がっていた
一羽の雀が死んだ。
蜜のように愛らしく、
少女が母親に甘えるように、
私の恋人になついていた。
彼女の膝の上から離れようとせず、
あちこち向きを変えては飛び跳ねる。
ちゅんちゅん鳴くのは、彼女に対してだけだった。
The Dead Sparrow
Franz Marc
今回ポインターの「レスビアとスズメ」を紹介したのは、
ちょうど今日読み終えた本の内容が
女性とスズメの交流、そして別れを描いたものだったから。
クレア・キップスの「ある小さなスズメの記録」という本で、
物語の舞台は第二次大戦中のロンドン。
足と裏に障害を持ち、巣から捨てられた小スズメと老婦人の
12年におよぶ共同生活を綴った物語です。
瀕死の状態から回復した小スズメは、作者(老婦人)を母と慕い、
彼女の襟の中に潜り込み、一緒に羽毛布団で眠るなど甘えたい放題。
やがて成長すると、彼(スズメ)は様々な芸を覚え、
戦争の不安を抱える人々に癒しと笑いを与えるようになります。
まるで人間の子どものように反抗期を迎え、
学び、遊び、歌い、そして……避けようのない、老い。
病に伏し、体力を失ってからの彼にとって、
作者が世界のすべてとなります。
雛鳥のときに懸命に作者の後を追いかけ、
作者のそばにいる時が一番の安らぎだったように。
本書はヨーロッパやアメリカで、
空前の大ベストセラーとなったそうです。
興味のある方はぜひ♪
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