モロー「岩の上のサッフォー」
前回ご紹介した古代ギリシャの女性詩人レスビアは、
またの名をサッフォーといいます。
レスボス島に若い女性だけを集めた学校を開いたことから
レズビアンの語源となったそうですが、
彼女は悲恋の果てにみずから命を絶ったことでも知られており、
そのエピソードをギュスターヴ・モローがたびたび描いています。
Sapho sur le rocher(1872)
Gustave Moreau
ギュスターヴ・モロー「岩の上のサッフォー」。
象徴主義の雄、モローならではの退廃的かつ官能的な美しさ。
サッフォーの衣装にも注目です。
モローの師であるシャセリオーもサッフォーを描いていますが、
それと比べてみればモローの衣装へのこだわりが際立ちます。
Sapho
Théodore Chassériau
それでは以下、モローが衣装について記した文章から引用。
私の作品<サッフォー>の場合、私は彼女に巫女の聖性、
巫女といっても詩人である巫女が持っている聖性を付与しようと考えた。
それゆえ、優美さと厳格さの印象を与えることができるように、
そしてなによりもまず、詩人の最大の特性である多様性、
想像力を人の心に呼び覚ますことができるような
衣装を身につけさせることにしたのだ。
フォアンという若者へのかなわぬ恋を嘆き、
サッフォーはレウカディアの岩壁から海に身を躍らせます。
「岩の上のサッフォー」は身を投げる前の場面ですが、
モローはそこから先の場面も、丹念に描いています。
彼女の死に、強く惹かれるものがあったんでしょうね。
さて、モローは画家としてはもちろん指導者としても優れており、
国立美術学校の教壇に立ち、ジョルジュ・ルオーやアンリ・マティス、
アルベール・マルケなどが彼のもとを巣立っています。
モローは特にルオーのことを気にかけており、
彼の人生に大きな影響を与えました。
ということで、次回はモローのもとで学んでいた時期の
ルオーの作品をご紹介します。
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