モネ「日傘の女性、モネ夫人と息子」
1年ぶりの再会?
でも、どこか違う。
クロード・モネ「日傘の女性、モネ夫人と息子」。
第2回印象派展に出品された時は「散歩道」と名付けられていた傑作です。
国立新美術館の「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」より。
Woman with a Parasol - Madame Monet and Her Son(1875)
Claude Monet
グリーンの日傘を手に、草原に佇む女性は
モネの妻、カミーユ。
こちらに気づいて振り返ったその瞬間を、
モネは独特の流れるような筆致で切り取っています。
後ろに流れるヴェールはまるで風の動きをあらわしたかのよう。
躍るようにそよぐ黄色の花々を、
ヴェールの向こうのカミーユの表情を、
その向こうでどこか退屈そうな息子・ジャンを、
モネは愛情をもって描き出しています。
この幸せなひとときを、永遠にカンバスに閉じ込めようとするかのように。
昨年のオルセー美術館展では、
これとよく似た構図の「日傘の女性」が展示されていました。
ですが、モデルはカミーユではなく別の女性。
この点について詳しくはこちらに書いていますが、
なんというか……切ないエピソードなんですよね。
モネがいかにカミーユを愛していたか、
この作品を大切にしていたか。
なまじそういう知識があるだけに、
今回「日傘の女性、モネ夫人と息子」を見たときも
なんだか切ない気持ちになってしまったんです。
ところで、白いドレスが爽やかなモネ夫人・カミーユですが、
よく見るとお尻のところが不自然に盛り上がってますね。
これはバスル・スタイルでしょうか。
当時はやったという腰の部分が丸く盛り上がったドレスで、
これのおかげで美しい三角形のシルエットが成立しているのかも。
鮮やかな緑の草花から伸びる白い三角形、
その頂点には再びパラソルの緑。
そしてもう一度、視線はカミーユの顔へ。
モネはまさしくそんな目の動きで、
愛する妻を見上げたのでしょう。
永遠を思いながら、一瞬を描きながら……。
さて、国立新美術館の「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」ですが
点数がちょっと少なめなこともあって、
わりとゆったりスペースを取って作品が配置されていました。
これなら多少の混雑も気にならず、じっくり名画を楽しめると思います。
同展の副題は「印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション」。
会期は9月5日まで、その後京都市美術館に巡回します。
今日からしばらくは同展の作品をご紹介していくつもりですが、
紹介したい作品がありすぎて困ってしまいます(笑)
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