バジール「若い女性と牡丹」
国立新美術館の「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」ですが、
個人的に嬉しかったのがバジールとカイユボット。
特にバジールは夭逝の画家ゆえ作品数自体が少ないらしく、
そんな彼の作品が3点も来日してるんですよね。
ということで、今回はフレデリック・バジール「若い女性と牡丹」を。
Young Woman with Peonies(1870)
Frédéric Bazille
ずらりと並んだ色とりどりの春の花。
その中から淡いピンクの牡丹を手にとり、
こちらに視線を投げかける黒人女性。
花と黒人女性という組み合わせは
マネの「オランピア」を思わせますが、
娼婦に付き従う召使いという設定のせいか
どこか卑屈さが垣間見える「オランピア」の黒人女性に対し、
バジールの「若い女性と牡丹」では
どちらかというと生きる強さ、したたかさを感じるんですよね。
ぼーっとしてたら呼び止められて、むりやり花を買わされてしまいそうな。
Olympia(1863)
Edouard Manet
じつは「若い女性と牡丹」には、対となる同題の作品が存在します。
ファーブル美術館の所蔵で、同じ黒人女性と花々という取り合わせながら
女性の視線は花のほうを向いており、
しかも描かれているのは花瓶に花を活けている場面。
表情はより自然で、気品さえ感じさせます。
Young Woman with Peonies(1870)
Frédéric Bazille
これら2つの作品が描かれたのは1870年。
この年、バジールは普仏戦争に志願し、戦場で命を落とします。
わずか28歳、早すぎる死は印象派の面々にも衝撃を与えたそうです。
印象派の隆盛を見ることなく戦地に散ったバジールですが、
早すぎる晩年に彼が残した花々は
今もカンバスからあふれんばかりの香しさで
可憐に咲き誇っています。
作品と生涯については、吉川節子著「印象派の誕生」(中公新書)に詳しく。
そして国立新美術館に行けば、バジールの作品3点と出会えますよ♪
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