ピカソ、最後の「自画像」
パブロ・ピカソ最後の「自画像」。
死の前年に描かれた画家自身の顔は、
どことなく寂しげで……
じっと見ていられない。
Self-Portrait(1972)
Pablo Picasso
深く刻まれたシワ、顔の色は青黒く
人間以前のけだものに戻ったような、原始的な表情。
かたく引き結んだくちびるは何かを耐え忍んでいるようで、
ぽっかりとあいた洞窟のような瞳は……
ピカソはこのとき、何を見ていたんでしょう。
衰えを知らぬ精力と創造力で絵筆を振るい続けた20世紀最大の巨匠。
その作品数は油絵だけで1万3千点にものぼるといいます。
気の向くままに多くの女性と浮き名を流し、時に傷つけ、時に追いつめ、
喜びも哀しみも、怒りも無常も思うがままにカンバスに刻み付けた画家。
際限のない欲望は、自身の闇の深さゆえだったのでしょうか。
満たされないからこそ、追い求める。
満足できないからこそ、壊そうとする。
老齢となり、死を意識したとき
わが来し方を振り返り、わが身を見つめ直したとき……
彼はふと、気づいたのかもしれません。
自身の、業の深さに。
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