ルノワール「アンリオ夫人」
あいかわらず、お美しい。
1年ぶりの再会に思わず胸がときめきました。
ピエール=オーギュスト・ルノワール「アンリオ夫人」。
昨年の国立新美術館「ルノワール 伝統と革新」に続き、
「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」にいらっしゃってます。
Madame Henriot(1896)
Pierre-Auguste Renoir
どうです、この優雅な微笑み。
キリッとした弓なりの眉、
やや大きめの、澄んだ瞳。
青を基調とした画面のなかで、
ほのかに朱がさした頬と
唇の赤に視線が吸い込まれていきます。
そして肌にのせた微かな青が背景の青と呼応し、溶け合い、
やわらかな統一感が生まれているんですね。
首に巻かれたチョーカーや胸元のあいたドレスもよく似合ってます。
う~ん涼しげ。素敵だなぁ。
大人の女性の秘めたる色香を感じさせる一枚ですが、
モデルのアンリオはこのときまだ20歳になるかならないかという年齢。
駆け出しの女優だった彼女は
1870年代、ルノワールのお気に入りのモデルだったとか。
生涯独身を貫いたため正確には「夫人」ではないですし、
このころのフランスの平均結婚年齢は
女性で25~26歳くらいだったといいますから、
彼女は少し背伸びしていたのかもしれませんね。
そして、そんな彼女の気持ちを察したものか
ルノワールはアンリオの顔を美化して描き、
時を越えて鑑賞者を魅了するような大人の美女に仕立てています。
彼女は自身を描いた肖像画のなかで、
唯一この「アンリオ夫人」だけは生涯手放さなかったといいます。
とすると、ルノワールが描いたのは
彼女自身が思い描いた理想像だったのかもしれませんね。
国立新美術館の「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」では、
ルノワールの作品が「アンリオ夫人」を含めて計9点も展示されています。
次回はこの作品の隣に並べられた、
もう一枚の「青い」作品をご紹介します。
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