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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ゴッホの「自画像」は贋作!?

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国立新美術館の「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」にて、
目玉のひとつとして展示されているゴッホの「自画像」。
これが贋作なのでは!?というショッキングな本があります。


ゴッホ「自画像」ワシントン・ナショナル・ギャラリー
Self-Portrait(1889)
Vincent van Gogh




小林英樹「『ゴッホ』にいつまでだまされ続けるのか」という新書。
同氏は他にもゴッホに関する書籍を出しており、
今回も売名行為とかそういうのではなく本気の告発と思われます。
それだけに、読むこちらも背筋をピンと正して読み進めるわけですが…。
彼による検証はどれも理路整然としていて、
ゴッホに対する愛情もひしひしと伝わってきます。
特にオルセー美術館の「自画像」との比較は、読んでてドキドキしました。
並べてみれば、確かに目・鼻・口と、オルセー版と酷似してるんですよね。
そのほかパレットの形状、服装、
そして何よりこの自画像ではゴッホが“左利き”であるという点などが、
贋作の論拠として提示されています。
自画像を描くときは鏡に自身を写すから、
パレットを持つ手は逆でないといけないというわけですね。
なるほど、言われなきゃ気づかない。


ゴッホ「自画像」ワシントン・ナショナル・ギャラリーゴッホ「自画像」オルセー
左:ワシントン・ナショナル・ギャラリーの「自画像」
右;オルセー美術館の「自画像」




ただ惜しむらくは、客観的な裏付けがひとつもないということ。
「私はこう思う」という推測の域を出ておらず、
それなのにだれが贋作者なのかという犯人探しにまで発展してしまう。
しかも○○が犯人だと決めつけてしまう。
絵画に対して何を思うかは人それぞれだけど、
ちょっと独善的すぎるというか、独りよがりな印象は否めませんでした。


とはいえ、こういう作品に接することで、
あらためてゴッホの魅力に気づかされるというのはあります。
そして、たとえ自画像が贋作だと確定したとしても、
僕は怒りよりも、「やっぱりゴッホってすごいんだなぁ」という感想に至りそう。
ここまでのレベルで真似されるっていうのも、スゴイことですもんねぇ。


ちなみに本作では、もうひとつショッキングな記述が。
損保ジャパン東郷青児美術館のゴッホ「ひまわり」も、
筆者によれば「贋作である!!」とのこと。
はてさて、真実はいかに。
答えは神ならぬ、ゴッホのみぞ知る、か。



■「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」の関連記事
モネ「日傘の女性、モネ夫人と息子」
モネ「ヴェトゥイユの画家の庭」
カサット「青いひじ掛け椅子の少女」
マネ「鉄道」
バジール「若い女性と牡丹」
ルノワール「アンリオ夫人」
ルノワール「踊り子」
ゴッホ「薔薇」




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