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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

モネ「睡蓮」(アサヒビール大山崎山荘美術館にて)

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2泊3日の京都旅行、行ってまいりましたー。
初日は京都駅からJRで15分くらいのところにある、
アサヒビール大山崎山荘美術館へ。
モネの「睡蓮」を堪能しました♪


モネ「睡蓮」
Water Lilies(1914-17)
Claude Monet




アサヒビール大山崎山荘美術館は
名前のとおりもともとは山荘だった建物を美術館として残したもので、
本館には陶器を中心としたコレクションが展示されており、
モネの「睡蓮」は新館のほうで見ることができます。
新館は「地中の宝石箱」と呼ばれる円柱型のドーム。
香川の地中美術館と同じく、安藤忠雄の設計によるものです。
日程に余裕があれば、こちらも行ってみたかったなぁ。


アサヒビール大山崎山荘美術館
山荘美術館。とてもいい雰囲気だー。




コンクリート打ちっ放しの壁に挟まれた階段を下りていき、
左手の入り口をくぐると……訪問者を出迎えるように、
モネの「睡蓮」が飾られています。
館内のモネの作品は計5点、1点は「アイリス」で、残り4点が「睡蓮」。
入り口に飾られた「睡蓮」を除く作品すべてが、
画家が白内障を患ってからの作品とのことでした。
さらに円形の部屋を「睡蓮」で囲むという計画にモネが着手した時期の作品で、
まさに円熟期の作品といっていいでしょう。
ちなみにこの構想はモネの死後、オランジュリー美術館で結実します。


館内にはいろんな椅子が置かれていて、
その座り心地を確かめながら絵画を鑑賞できます。
で、今回ぼくは都合1時間くらい「睡蓮」と向かい合いました。
ずっと眺めていても見飽きるということがない、
これこそ「睡蓮」の魅力だと思います。
全体像を、細部を、輪郭を、色彩を網膜に焼き付けたつもりでも、
一度目をそらしてもう一度作品に視線を戻すと、
さっきと異なる表情がそこにあって……
また新たな魅力に気づかされるのです。


山荘美術館、睡蓮の池
山荘美術館の庭園には、睡蓮の池も。




刻々と変化する光をカンバスに描いたモネですが、
彼の「睡蓮」もまた、光の当たり方や見る角度、
鑑賞者の心情によって劇的に変化するのだと思います。
作品そのものが池の水面のようにたゆたっており、
ふと気づくと自分の内面を見つめているような気持ちになったり。
午睡のまどろみのような、心地よくも気怠い浮遊感に包まれたり。
そして4点の睡蓮(+アイリス)を見比べる至福といったら!
こんな贅沢な時間、なかなかないと思います。


メモを取る手も止まりませんでした。
思考がどんどん先走って、手が追いつかない。
次から次へと言葉が溢れ出して、きりがない。
不思議な体験でした。
じつはこれ、年に何回か、眠りに落ちる間際に起こる現象なんですよね。
体は明らかに睡眠モードに入って動かないのに、
頭のなかは普段よりも覚醒していて、
奔流のように言葉が現れては消えて行く。
恐いくらいに言葉が押し寄せてきて、めまぐるしく駆け回る。
「睡蓮」の前でこれと同じ感覚に陥ったのは、
たとえるなら白昼夢のような、
身体を離れた感覚の世界に引き込まれたからなのかなぁと。
こういうときの全能感とか多幸感とかって、ものすごいです。
濁った池に花を咲かせる「睡蓮」だからこそ、
そしてゆらめく光を描いたモネの作品だからこそ、
こういう不思議も納得できてしまうんですよねぇ。


アサヒビール大山崎山荘美術館ですが、
本館のほうでは「かんさいいすなう」と題して、
約50点の椅子を集めた展示をやってました。
橋本府知事の椅子があったり、なかなか面白かったです。
そのほか河井寛次郎やバーナード・リーチの陶器も素敵でした。
山荘からの京都市街の眺望も最高でしたし、
桜や紅葉の時期だったら、また風情があっていいんだろうなぁ。


さて、京都初日は山荘美術館のあと夕方ごろに宿にチェックイン、
そのあと鴨川沿いを散歩して、おばんざいのお店へ。
心地よく酔って、2日目のフェルメールに備えて早めに就寝しました。
ということで、次回からはフェルメールの「手紙」についてご紹介します。

鴨川
夕暮れどきの鴨川沿い。京都は水の音が印象的でした。




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2 Comments

says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011.07.28 00:44 | | # [edit]
スエスエ201 says..."Re: お帰りなさい。"
> ひなさん

ただいまですー。
なんだかんだで、いっぱい歩いた京都旅でした^^
僕が行ったときは比較的涼しかったみたいで、
しかも川沿いや寺社仏閣の中はひんやりした風が流れていたりで
京の風情を堪能してまいりました。
ぼくも雰囲気に流されやすい性格のようです(だまされやすい!?)


大鳥居、すごかったですねぇ。
台風で倒れないかと心配になっちゃいました。
そこから遠くに見える平安神宮もさすがの威容で、
気持ちがあらたまる思いでした。
そんな土地で出会ったフェルメールは、一生忘れられない思い出になりそうです。


フェルメールの作品は、鑑賞者の存在も含めてひとつの作品なのだと思います。
画中の人物は明らかにこちらを見ていたり、
逆にこちらが部屋の扉に立っている錯覚に陥ったり。
不思議な一体感があって、それも絵の前から離れられなくなる一因なのかなぁと。
そしてあのヒンヤリした空気感と静かな磁力こそフェルメールの魅力なんだと思います。


教えていただいたお漬け物、おいしくいただいております。
ゆず大根と芽生姜が絶品!
もっとたくさん買ってくればよかったなぁ。
2011.07.28 02:00 | URL | #- [edit]

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