フェルメール「手紙を読む青衣の女」
「フェルメールからのラブレター展」、
一番の注目はなんといっても「手紙を読む青衣の女」です。
アムステルダム国立美術館での修復後、世界初公開!
フェルメールの青がよみがえる!
これは期待が高まるぞ、と。
Girl Reading a Letter(1663-64)
Johannes Vermeer
ぎゅっと手紙の両端を握りしめ、熱心に見入る女性。
わずかに口元を開いてますが、声に出して読んでいるのかもしれません。
17世紀のオランダでは識字率の向上と郵便制度の発達により、
手紙という文化が急速に普及していたのだとか。
ラブレターの指南書なんかもあったそうで、
その文例も今回展示されています。
京都市美術館フェルメール展の入り口。作品もこの順番に展示されてます。
さて、フェルメールの「手紙を読む青衣の女」。
修復後の作品をテレビで見て、webで見て、チラシで見て、
そのときから何となく違和感があったのですが……
本物と対峙して、その理由に気づかされました。
青が……青の存在感が強すぎるんです。
上にあげた画像ではそこまで気にならないかもしれませんが、
実際は青の衣が手前にぼわっと浮かび上がってくるような印象。
そのぶん表情や手の描写がなおざりな気がしました。
きつい言い方をすれば、血が通っていないような。
フェルメールは当時、純金と同じくらい高価だった
ラピスラズリという鉱物から作り出した
ウルトラマリンブルーという顔料を使っていたそうで、
館内ではラピスラズリの原石と顔料が展示されていました。
それはもう、目を奪われるような美しい青で、
自然界にこんな色が存在するのか?と疑ってしまうほどの鮮やかさで、
フェルメールがこの色に魅せられたのもよく分かる気がします。
そして、修復家もこの青の魔力にとらわれてしまったのかもしれません。
当時の青を蘇らせようとするあまり、
青ありきの作品になってしまったのかも。。。
逆に青にこだわるのなら、
「手紙を読む青衣の女」で描かれる
上着や地図の重し、椅子、テーブルクロスなどの
表現の違いに注目してみると面白いかもしれません。
同じ色と思いきや、実に表情豊かに描きわけられていますから。
また、展示されていた色が当時の真実の色なのだとすれば。
もしかしたら薄暗い部屋で、窓から差し込むかすかな光で鑑賞するといいのかも。
青の印象も、まったく違ったものになるのではないでしょうか。
以上、あくまでも自分勝手な主観です。
次に見た時は、「あれ、キレイ」と心変わりしてるかもしれません。
皆さんはどのような感想を抱くでしょうか?
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