足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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青木繁「海の幸」

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収穫をかつぎ、列をなして進む裸の男たち。
歓喜の行進なのか、物憂い歩みなのか、
ぼくにはどちらともつきませんでした。
青木繁海の幸」。
ブリヂストン美術館『青木繁展』より。


青木繁「海の幸」
A Gift of the Sea(1904)
Aoki Shigeru




縦横にひかれた下書きの線はそのまま残され、
色使いは荒々しく、塗り残しも目立つ。
赤や黒の輪郭線は強くぶっきらぼうに、刻み付けるように。
生々しく、力強く、男たちの息づかいが聞こえてきそうです。


青木繁の「海の幸」と対峙したとき、
ある一点から目をそらせなくなりました。
右から4人目、ひとりこちらを見つめる色白の……女性?

「海の幸」部分
この人物にだけ、くっきりと瞳が描かれています。



青木繁はここに、恋人の福田たねのイメージを描き込んでいるようです。
福田たねは当時数少ない存在だった女流画家。
青木とともに千葉県館山市の布良海岸を訪れ、
ここで青木は、「海の幸」を含む作品群を制作します。
万葉集にも登場する、古代のおもかげを残す地で描かれたのは
時代を超えて、力強く歩み続ける神聖な姿。
彼らの目は一様に落ちくぼみ、影を呑んだような表情。
灼けた鋼のような肌は漁の厳しさを思わせます。


そうした一群にあって、福田たねのイメージを宿す人物は
ただひとり若々しく、永遠の行進に現在というくさびを打ち込んだかのよう。
青木が28歳という若さで世を去ってからも、
未完成にも見える「海の幸」のなかで男たちは歩み続けます。
そして福田たねの顔をかさねられた白肌の漁師は
この世から消えてしまった画家を探し求めるように、
画面の外に視線を投げ続けるのでしょうか。




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