足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

橋本雅邦「乳狼吼月」

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誰もいない、夜の町。
見覚えのある風景。
あぁこれは、小学校からの帰り道だ。
ふと見上げると、月が皓々と照っている。
星々をしたがえて、月が静かに輝いている。
そんな夢を見ました。


橋本雅邦「乳狼吼月」
Dam Wolf Howling at the Moon(c.1899)
Hashimoto Gaho






こちらは橋本雅邦の「乳狼吼月」。
半月に向かって吠える、一頭の狼。
授乳期の狼は毛を逆立てて、
お腹の子を守ろうとしているかのようです。


この作品が描かれた前年に、
橋本雅邦の師である岡倉天心が東京美術学校を排斥され、校長職を辞しています。
このとき雅邦をはじめ横山大観、菱田春草などの弟子たちが
天心に続いて教職から退くことを決意し、
同年、彼らは天心とともに日本美術院を設立します。


月に吠える孤狼の姿には、
当時の彼らの不安や愁い、
そしてなみなみならぬ決意が込められているのかもしれません。



さて、昨日は肌にまとわりつくような暑さにもかかわらず、
夜空に浮かぶ半月はさえざえと、妙に冷たく感じられました。
そのあと少年時代のことを思い出したり
今のことや将来のことや、いろんなことを考えて
それであんな夢を見たのかもしれません。



過去は私にとつて苦しい思ひ出である。
過去は焦躁と無為と悩める心肉との不吉な悪夢であつた。

月に吠える犬は、自分の影に怪しみ恐れて吠えるのである。
疾患する犬の心に、月は青白い幽霊のやうな不吉の謎である。
犬は遠吠えをする。

私は私自身の陰鬱な影を、月夜の地上に釘づけにしてしまひたい。
影が、永久に私のあとを追つて来ないやうに。

                    (萩原朔太郎)




訣別はむずかしい。
「乳狼吼月」のように守るものがあればこそ、
人は過去を捨てられのかもしれません。




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(1999/01)
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