足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

青木繁「黄泉比良坂」

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狂おしい青。
堕ちていく青。
青木繁黄泉比良坂(よもつひらさか)」のまえで、
ぼくはなんだか怖くなって、動けなくなりました。


青木繁「黄泉比良坂」
Yomotsuhirasaka, Escape from the Land of the Dead(1903)
Aoki Shigeru




黄泉の国で再会した、イザナギとイザナミの物語。
光のなかで頭を抱え、背を向けるイザナギの姿が
この悲劇を物語っています。


それにしても、この青は……。
21歳の青年が描くにしては、あまりにも深く暗すぎます。
若さゆえの激しさと繊細さが同居する筆致の向こうに、
老いを感じさせる何かが見え隠れするのです。
苦渋や悲哀を飲み込んだ、あきらめにも似た思い。
こうした見方は本来避けるべきですが、
どうしても彼の短い生涯を思わずにはいられません。
そしておのれの心の水底を、
深きにねむるものを思わずにはいられないのです。


青木繁「自画像」1903
こちらは「黄泉比良坂」と同年に描かれた自画像。
炎の糸に縁取られた、不穏な一枚です。業火に焼かれているようだ。




黄泉比良坂」は白馬会第8回展に出品され、
群を抜いた表現と世界観で賞を獲得しています。
そして本作の発表からしばらくして、
青木繁と福田たねの恋愛が始まります。
恋人との出会いが、青木の画風にどう影響を与えたのか。
彼はこの深い水底から、抜け出すことができたのか。
もし気になるようであれば、
ぜひブリヂストン美術館に足を運んでみてください。
会期は9月4日まで。
夏の終わりに、この青にひたるのもよいかもしれません。




今日も明日もがんばろう。
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