コロー「真珠の女」
「コローのモナ・リザ」とも呼ばれる、
カミーユ・コローの代表作「真珠の女」(1858-1868年)。
民族衣装を身にまとい、頭部には葉冠の装飾。
その葉の一枚(影?)が額に重なり、
これが誤って真珠と見なされ、「真珠の女」と呼ばれるようになったとか。
Femme à la perle(1858-68)
Jean-Baptiste-Camille Corot
コローはダ・ヴィンチをお気に入りの画家に挙げており、
その構図からも「モナ・リザ」を意識したことは想像に難くありません。
一見無表情のようで、鑑賞者のすべてを見透かすような強い視線。
色数を抑えたことで荘厳な雰囲気が漂い、
見る人によっては緊張を強いられたように感じるかもしれません。
しかし一方で、ブラウスが胸元で少しはだけており、
緊迫のなかに一点の隙が見て取れます。
この部分は後から描き足されたそうで、
もともとブラウスははだけていなかったとか。
だとすれば、コローは「真珠の女」を完璧な女性像ではなく
どこか不完全さを併せ持つ、
人間味のある女性像に仕立て上げたかったのかもしれません。
コローが決して売ろうとせず、死ぬまで手放さなかった「真珠の女」は
現在、ルーブル美術館に収められています。
そう、時を経て彼の作品は
敬愛するダ・ヴィンチの「モナ・リザ」と同じ美術館で
鑑賞者に謎めいた微笑みを投げかけているのです。
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