ウォーターハウス「人魚」
ウォーターハウスの作品のなかで、
僕が一番好きなのが「人魚」です。
うーむ、美しい。これぞウォーターハウス。
明治の文豪もこの絵を見て虜になったようで
夏目漱石の「三四郎」には、「人魚」と思われる描写が登場します。
絵はマーメイドの図である。
裸体の女の腰から下が魚になって、
魚の胴がぐるりと腰を回って、
向こう側に尾だけ出ている。
女は長い髪を櫛(くし)ですきながら、
すき余ったのを手に受けながら、
こっちを向いている。
背景は広い海である。
「人魚(マーメイド)」
「人魚(マーメイド)」
頭をすりつけた二人は同じ事をささやいた。
背景に広い海、そして髪を梳るマーメイド。
絵のタイトルは作中で出てこないものの、
漱石はウォーターハウスの「人魚」にインスパイアされたのでは、といわれています。
ちなみに漱石は、エッセイ「永日小品」のなかで「モナ・リザ」を題材にしていたり
絵画に対する感度が高い作家だったようです。
さて、ウォーターハウスの「人魚」は
テニスンの詩「人魚」にインスピレーションを受けて描かれたとか。
その詩がこちら。
誰ならん
人魚の麗しく
ひとり歌を唄いて
髪を梳く・・・
そういえば、以前紹介した「オフィーリア」も
水辺でひとり、指先で髪を梳くオフィーリアの姿が描かれていました。
シェイクスピアは、その後溺死するオフィーリアを人魚にたとえています。
愛を求める水の女といえば、「シャロットの姫」も・・・。
ウォーターハウスはこのような、水にまつわる女性を数多く描いています。
水と女性、その主要作品をざっと見てみましょう。
「オデュッセウスとセイレーン」
こ、怖い・・・
「嫉妬に燃えるキルケ」
こ、こ、怖い・・・
「(男の)人魚」
間違えた、おっさんでした
「セイレーン」
これまた妖艶。男はいつも、惑わされてばかり。
「ナイアス」
若い男を盗み見る女の精霊。ドキドキします。
「パンドラ」
左肩が何ともなまめかしい。
「オルフェウスの首を見つけたニンフたち」
前にギュスターヴ・モローの作品で紹介したオルフェウス。
という感じで、まだまだ紹介しきれないくらいです。
まさに水の画家、ウォーターハウス。
暑い夏、彼の作品で涼をとってみては?
ぽちっとお願いします!
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