モーリス・ドニ「子どもの身づくろい」
子どもをそっと抱きよせ、
右手のスポンジで頭を洗う母親の姿。
モーリス・ドニ「子どもの身づくろい」。
なんてやさしい作品なんだろうか。
La Toilette de L'enfant(1899)
Maurice Denis
私はあなたの小さき子どもです、
あなたが私を高めるのです。
ドニはこんなふうに、妻のマルトを愛し、
彼女とのあいだに生まれた子どもたちを愛しました。
家族というものを描かせたら、
この人の右に出る者はいないだろうと
ぼくは勝手に思っています。
どの作品からも、慈愛がにじみ出ているもの。
そして作品全体をおおう、やさしげな紫。
この色使いが、ぼくは大好きなのです。
母の愛にまさるものはないと、つくづく思いました。
なんびとたりとも立ち入ることのできない神聖な雰囲気が、
この作品には描かれています。
つま先をつまんで遊ぶ子どもの姿も、
母に抱かれて安心しているからこそ。
うん。
一目でこの絵が好きになりました。
損保ジャパン東郷青児美術館の
「モーリス・ドニ ――いのちの輝き、子どものいる風景」では、
タイトルの通り、子どもというテーマに沿って
かなりレアな作品が集められています。
ファン待望にして垂涎の展覧会でした。
なにせ、ほとんどの作品が「個人蔵」。
これ見逃したら、次はないんじゃないかという作品がずらりです。
ところで「子どもの身づくろい」、
複製画が1万円くらいで売られていたので
買ってしまおうと思ったのですが……
財布のなかに、5000円しか入ってませんでした。
男子たるもの、財布のなかには
年齢×千円くらいのお金は最低限入れておけといいますが。
精神年齢5歳だからしかたないか。
なるべくカードは使わない主義なので、
次に行ったときに買うとしよう。
複製画って買ったことないから緊張しちゃいそうだけど。
今日も明日もがんばろう。
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