足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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コレッジョ「幼児イエスを礼拝する聖母」

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聖母マリアが幼子イエスの前にひざまずき、
散乱したわらの上に寝ているわが子をあやしており、
赤子は嬉しそうに笑い声をあげている絵である。
この情のこまやかな作品にヘンリエッタは感動して、
世界一美しい絵だと思っていた。
(ヘンリー・ジェイムズ「ある婦人の肖像」より)


コレッジョ「幼児イエスを礼拝する聖母」
Adoration of the Child(c.1526)
Antonio da Correggio




今回から3回にわけて、
「ある婦人の肖像」にまつわる絵画を紹介していきたいと思います。
ヘンリー・ジェイムズの「ある婦人の肖像」は、1881年に出版された小説。
アメリカからロンドンを訪れた、
イザベルという若き女性を中心に物語は展開していきます。
賢明で美しい彼女は自由に生きたいと願い、
次々にあらわれる求婚者をしりぞけ、
迷いながらも成長していきます。


イザベルを取り巻く女性達もまた魅力的で、
なかでも新聞記者のヘンリエッタと、
後にイザベルの娘となるパンジーが
物語において重要な役どころを与えられています。
イザベル、ヘンリエッタ、パンジーのそれぞれに
象徴的な絵画作品が配されているわけですが、
今回は3人のうち、ヘンリエッタについて。
彼女が「世界一美しい」と評した作品が、
ウフィツィ美術館所蔵の、コレッジョ「幼児イエスを礼拝する聖母」です。
※正確な作品名は出てこないけど、多分これのはず。


小説で描かれるヘンリエッタという女性は、
新聞記者として精力的に各地を飛び回り、
友人に対しても見知らぬ相手に対しても辛辣な批評を浴びせる、
きわめて近代的な「新しい女」です。
イザベルも恋愛や自由に対して進歩的な考えを持っていますが、
どこか保守的な部分も垣間見せる彼女に対して、
ヘンリエッタは非常に攻撃的で、
細やかな愛情というものをあまり感じさせない女性として描かれます。


ところが。
そんなヘンリエッタが惹かれた作品こそ、
コレッジョの「幼児イエスを礼拝する聖母」なんですね。
幼いキリストを慈しむ、聖母マリアの美しい姿。
このギャップに、読者は思わずうならされるわけです。
宗教的なものや古典的なものや、
ましてや母性なんて微塵も感じさせない彼女なのに。
自分にないものを求める心情のあらわれなのか、
みずからの腕に拠って、ひとりで生きるということを知る彼女だからこそ
献身的な愛を感じさせるこの作品に心惹かれたのか。


自己主張が激しすぎる女性はちょっと……という人もいるでしょうけど、
このコレッジョの作品を知ると、
ヘンリエッタという女性がぐっと魅力的に思えてしまうから不思議です。
最終的に彼女は、人生をともにする伴侶を見つけ、
迷い傷つくイザベルの支えになろうと奮闘します。
ほんとは友達思いの、心やさしい女性なんでしょうね。


それにしても、「世界一美しい絵」。
ぼくはまだ、そんな一枚に出会っていないなぁ。
好きな画家や作品はたくさんあるけれど。
ゆっくり探していきたいと思います。




今日も明日もがんばろう。
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(1996/12/16)
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