ゴヤ「バルコニーのマハたち」
思わずフラフラと吸い寄せられてしまいそうな、
蟲惑的な笑みを浮かべる2人の女性。
エドゥワール・マネはスペイン旅行中にこの絵を見て、
「バルコニー」を制作したといいます。
Les Majas au Balcon(1810)
Francisco de Goya
作者はスペインの宮廷画家、フランシスコ・デ・ゴヤ。
19世紀初頭に発表された本作「バルコニーのマハたち」で描かれるのは、
2人の娼婦とその斡旋人。
通りを行き交う男性を値踏みして、
女性同士でひそひそ会話を交わしているような、そんな一幕です。
強烈な明暗によって、物語の主役である娼婦と
彼女らの背後の闇、斡旋人の姿が対比されています。
娼婦の姿が美しく魅力的であるほど、
闇は色濃く、深みを増して行きます。
本作には対となる作品、
「バルコニーのマハとセレスティーナ」があり、
こちらでは斡旋人の存在感がより強調されています。
この不敵な面構えといったら・・・!
ゴヤは世の中のあらゆる闇を描き出した画家。
そこにマネが影響を受けたのもうなずける気がします。
また、印象派の画家たちのなかでも
マネは「黒」を使いこなした画家として知られています。
「黒」もまた、ゴヤの作品を語るうえで欠かせない要素なんですよね。
マネがスペインを初めて訪れたのは、1865年。
それ以前から彼はゴヤやベラスケスなどスペイン絵画に惹かれており、
実際にゴヤの作品を見て、自身の進むべき道を確かめたのかもしれません。
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