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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ジョアン・ミロ「無垢の笑い」

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大阪出張、後編。
国立国際美術館といえばこの壁画、
ジョアン・ミロ「無垢の笑い」です。


ジョアン・ミロ「無垢の笑い」
Innocent Laughter(1969)
Joan MIRÓ




国立国際美術館は大阪万博の際に
世界各国の美術品を展示する目的で建設されたそうで、
もともとは万博の敷地内にあったのだとか。
その後も吹田の万博記念公園で企画展を開催していましたが、
老朽化などに伴い、2004年に現在の中之島に移転したそうです。


で、ミロの「無垢の笑い」。
この作品もまた、大阪万博のためにつくられた作品なんですね。
ミロはガス館での展示のためにわざわざ来日して、
制作も日本で行ったんですって。
大阪万博といえば、ぱっと思い浮かぶのは太陽の塔なわけですが
こちらの作品もなかなかのインパクトです。
陶板640枚を使って描かれた、ミロらしい鮮やかな赤、青、黄、緑。
そしてこれは……たくさんの目でしょうか。
こちらをまっすぐ見つめるあまたの瞳に、
無垢っていうのは少し怖いなぁと思わされてしまうわけです。


この日は美術鑑賞のあとでお客さんと打ち合わせをして、
そのあとまた土佐堀川を西へ西へ。
「堂島川と土佐堀川がひとつになり、安治川と名を変えて
大阪湾の一角に注ぎ込んでいく」あたりまで。
そこは宮本輝の処女作「泥の河」の舞台になった場所で、
橋のたもとに石碑が建てられているのです。

宮本輝「泥の河」石碑
「泥の河」の石碑。後光がさしている。



あぁ、やっとここに来たと感無量。
「泥の河」は、土佐堀川の河畔に住む少年・信雄と
廓舟で暮らす姉弟の物語。
ぼくが生まれるよりもっと昔の話なのに、
どこか懐かしく、郷愁をかきたてられる作品です。
実際に橋の上から川を見下ろしたとき、
たくさんの船が係留されていて
なんというか、感極まってしまいました。
ここに、きっちゃんが暮らした船があったんだなぁと。
時間は5時すぎ、夕陽が川面をオレンジに染めていて、
本当にもう、きれいできれいで。

「泥の河」の舞台
こんな夕陽をみてしまったら、そりゃぁ感傷的にもなります。



ちなみに宮本輝のライフワークである長編小説「流転の海」の
第三部「血脈の火」もこのあたりが舞台で、
堂島川、土佐堀川、安治川に関して類似の表現が出てきます。
実際に宮本輝は、このへんで暮らしていたんですねぇ。
ファンにとっては、まさに聖地のような場所なのです。


このへんでスマートフォンのバッテリーが心細くなり、
せっかく新世界に行ったのに写真は撮れず。
通天閣、何度見てもすてきなフォルムです(笑)
たこ焼きおいしかったし、串カツもおいしかった。
途中で感傷的になってしまったけど、
楽しい一日でした。



今日も明日もがんばろう。
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