「宮沢賢治展」に行ってきました
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
(宮沢賢治「雨ニモマケズ」より)
昨日は久々に横浜へ。
そごう美術館の宮沢賢治展を見てきました。
「宮沢賢治・詩と絵の宇宙 雨ニモマケズの心」。
賢治が描いた水彩画や自筆のメモ、関連資料のほか、
高村光太郎の書や棟方志功の版画、
さらに絵本などの挿絵原画約250点と
見応えたっぷりの展覧会です。
会期前半は賢治が記した「雨ニモマケズ」の手帳が展示されていたそうですが、
残念ながらタイミング合わず……。
ぼくが見たのは手帳の複製でした。
それでもしっかり、胸に響きました。
「雨ニモマケズ」は、有名な冒頭の部分よりも
最初に引用した「ヒドリノトキハ~」以降のほうが好きだったりします。
ただ強く立派に生きようというのではなくて、
自分の弱さや無力さもちゃんと受け止めたうえで求めた言葉なんだなぁと。
「雨ニモマケズ」を書いたとき、
賢治は病床にあり、死を意識していたのだとか。
展覧会ではこの少し前に書かれた遺書も展示されていて、
その文面がまた、悲しくて。
とうとう一生何ひとつお役に立たず、
ご心配ばかり掛けてしまいました。
どうか、この我儘者をお赦しください。
両親や兄弟に対して自責の念を抱きながら、
それでも雨にも負けず、風にも負けず、
強く生きたいと願ったんでしょうか。
それは「永訣の朝」に歌われた、
「わたくしもまつすぐにすすんでいくから」という誓いにも通じて、
なんだかとても、心を揺さぶられます。
こうした悲しみや痛みが物語として昇華したのが、
賢治の童話「よだかの星」です。
ぼくはこの童話が賢治作品のなかで一番好きで、
今回も伊勢英子さんの挿絵の原画が展示されていて、
ついつい絵本を買ってしまいました。
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「よだかの星」は、たかの名を持つみにくい鳥のお話。
みんなに馬鹿にされて、たかに脅されて、虫を食べて生きる自分に嫌気がさして、
ある日よだかは遠くの空の向こうへ、星になろうとします。
お日さん、お日さん。
どうぞ私をあなたのところへつれてってください。
やけて死んでもかまいません。
私のようなみにくいからだでも
やけるときには小さな光をだすでしょう。
どうか私をつれてってください。
こんな悲しいお話だけど、
人はこういう痛みを知っておいたほうがいいと思うのです。
弱い者の気持ち、虐げられる者の気持ち。
宮沢賢治の作品はそこに寄り添うやさしさがあって、
独特の言い回しも相まって琴線に触れるんだなぁ。
そしてこの作品に絵を寄せた伊勢英子さん。
賢治の世界観にみごとに重なり合う、
やさしくて悲しくて、とても美しい絵でした。
今日も明日もがんばろう。



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