パルミジャニーノ「貴婦人の肖像(アンテア)」(カポディモンテ美術館展 その1)
今日は国立西洋美術館の、
「カポディモンテ美術館展」に行ってきました。
パルミジャニーノ、レーニ、エル・グレコなどを筆頭に
15~17世紀の名だたる名画の数々。
まさに至福のひとときでした。
ということで、本展の目玉でもある
パルミジャニーノの「貴婦人の肖像(アンテア)」をご紹介します。
Antea(1535-1537)
Parmigianino
1535年~37年、パルミジャニーノ晩年の作品であり、
イタリア美術を代表する女性肖像画として名高い傑作。
優美な衣装や透き通った白い肌、強い意志を感じさせる瞳など
見所をあげたらきりがないんですが、
何よりの魅力は「彼女は何者なのか?」というところでしょう。
副題の「アンテア」は、ローマの高級娼婦の名前。
イタリア出身のパルミジャニーノが
ローマ滞在時に惹かれた女性だそうで
このアンテアという女性を描いたのではないか?との説もあれば、
いやいやこれは花嫁だとか、さる貴婦人だとか
あるいは実在しない、理想の女性像だ、なんてご意見も。
謎があるからこそ魅力が深まるのは「モナ・リザ」にも共通してますね。
今回展示された実物を目にして、
一番気になったのが女性の両手でした。
手袋をはめた右手でもう一方の手袋を持っていますが、
手袋は高貴さや権力の証。
でも普通は逆で、左手に身につけ、同じく左手に持つべきなんですよね。
そう思ってよく見ると、肩からぶら下げたテンの毛皮の口元からは
鎖が伸びており、右手でその鎖を引っ掛けています。
獣の口から伸びた鎖、何とも意味深です。
野性を封じているのか、それとも野性に縛られているのか。
しかも左手の人差し指は金のネックレスに掛けられており、
これまた何とも・・・。
何となく、高級娼婦な気がしてきました。
ちなみに1535年頃に発表された「長い首の聖母」では、
この「貴婦人の肖像」で描かれたのとよく似た女性の姿が。
画面中央に座る聖母のひとつ左隣の女性です。
髪の色こそ違うものの、表情といい顔の向きといい、ほんとそっくり。
こちらも晩年の作品ですが、晩年といってもこのときはまだ32歳。
その5年後、パルミジャニーノは37歳という若さで
惜しくもこの世を去ってしまうのです。
カポディモンテ美術館展の公式サイトはこちら。
9月26日までの展示です。
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