シダネル「離れ屋(ジェルブロワ)」
損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の
「アンリ・ル・シダネル展」。
キャッチコピーは「薔薇と光の画家」でした。
ということでこの1枚。
「離れ屋(ジェルブロワ)」です。
Pavilion, Gerberoy(1927)
Henri Le Sidaner
夜。
離れ屋には灯りがともり、
窓からオレンジ色の光が洩れ出しています。
ピンク色の薔薇が庭園に咲き群がり、
むせ返るほどの香気が夜の闇に溶け込んでいくようで。
額縁のなかから香りが漂ってきそうな、
そんな幻想的な作品です。
恋人カミーユと死都ブリュージュに移り住んだシダネルは、
3年後の1901年、フランスのジェルブロワという町の虜になります。
かつて要塞として戦火のただ中にあり、
シダネルが訪れたときには城壁も塔も取り壊されて、
当時の面影をわずかに残すだけの静かな町だったのだとか。
シダネルはここで家を借りて、自分好みの庭園をつくりあげていきます。
薔薇を植え、カーネーションを飾り、噴水や彫像を据え付け……
やがてシダネルは町そのものを薔薇をはじめとする花々で飾っていくのです。
たくさんの花に囲まれた生活が、
シダネルの画風に大きく影響しているんでしょうね。
ちなみに現在、このジェルブロワという町は
フランスの旅行クラブが「最も美しい村」の一つに認定しているそうです。
う~む、一度行ってみたいものです。
今日も明日もがんばろう。
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