モネ「アンティーブの朝」
目が覚めたら少しさびしい気持ちであいさつをして、
まどろみのなかで思い出と遊んで、
ベッドから出たら大好きなグラスでオレンジジュースを飲む。
単純なもので、それだけで幸せな気持ちに満たされて
今日もがんばろうと思えます。
そんな朝を繰り返しています。
Antibes in the Morning(1888)
Claude Monet
雀はあなたのやうに夜明けにおきて窓を叩く
枕頭のグロキシニヤはあなたのやうに黙つて咲く
朝風は人のやうに私の五体をめざまし
あなたの香りは午前五時の寝部屋に涼しい
私は白いシイツをはねて腕をのばし
夏の朝日にあなたのほほゑみを迎へる
今日が何であるのかをあなたはささやく
権威あるもののやうにあなたは立つ
私はあなたの子供となり
あなたは私のうら若い母となる
あなたはまだゐる其処にゐる
あなたは万物となつて私に満ちる
私はあなたの愛に値しないと思ふけれど
あなたの愛は一切を無視して私をつつむ
(高村光太郎「亡き人」)
昔この詩を読んだときはそれほど印象にも残らなかったのに、
今日ひさしぶりに読んだら不覚にも涙がこぼれました。
元気でいてくださいと、そう願いながら。
今日も明日もがんばろう。
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